代表 島田 裕司
住所 〒114-0034  北区上十条1-17-8
TEL 03-3908-5584

 JR埼京線の十条駅は、北口に北区最大規模のアーケード商店街・十条銀座商店街と、それに連なる十条富士見商店街があり、活気ある様はマスコミにも度々取り上げられている名物商店街です。そして十条駅の南口は、落ち着いた住宅街となっており、北口とはまた違った魅力があります。この南口から徒歩5分ほどの住宅街にある島田たばこ店さんの奥様にお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

お話を伺った奥様

 奥様:もともとは、西新井で主人が草履などの履物を作っていました。作るだけではなく、販売もしようということで、十条に移って履物屋を始めました。それが昭和47年頃ですね。お隣がたばこ屋さんだったのですが、お店をやめたので、うちにたばこも販売してみないかというお話がきまして、申請して許可をいただいたのが30年くらい前です。

履物屋さんから、今のたばこ屋さんになったのはいつ頃でしょうか?

窓口の横に公衆電話があります。災害時に貴重です。

 奥様:家を建て替えたときですから、平成3年の2月からです。もう和服を着る人も少なくなって履物も売れなくなっていたので、たばこ一本の店にしました。たばこだけでしたら、やめるのも簡単ですし、小さい窓口だけでできますから。

奥様はご主人とご結婚する前にご商売の経験はあったのでしょうか?

住宅街にある年中無休のたばこ屋さん

 奥様:私の実家は冬の間だけスキーの道具を売っていたんですが、商売が嫌いで、お客様がくると隠れてしまうような子供でした(笑)。ですから、結婚したあともこういう商売をするとは思っていなかったです。結婚前に勤めていたところも生産工場でしたので、お客様とお話するということもなかったですね。商売は大変ですよね。でも、十条はいいところで、近所の人にも親切にしていただきました。店を閉めてしまうと寂しいけど、開けていれば人の顔も見られますし、お話することもできますよね。

営業時間は?

たばこの窓口

 奥様:朝6時45分から夜9時半までです。店が閉まらないうちにと買いにくるお客様もいますので、なるべく長く開けています。自宅でもありますので、インターホンを押してもらえれば、すぐに対応できますし、開けていれば一つでも二つでも売れますしね(笑)。私が外出するときは、主人が店を見ています。それから、うちは自動販売機も結構使っていただいているんです。このへんはタスポを持っている方は多いですよ。喋って買うより、自販機で買いたいという方もいるみたいです。時々、若い方が来ますけど、「高校生じゃない?」と聞くと、素直に「そうです」って言いますね。私が田舎者で言いやすいのかもしれませんね(笑)。大人っぽくしていても、見れば子供だとわかりますよね。

ご商売をしていて、思い出に残っていることはありますか?

自動販売機、よく使われているとのことです。

 奥様:昔の話ですが、履物屋のときは古い造りで誰でも中へ入れたので、小さな手提げ金庫を泥棒に盗られてしまったことがあるんです。すぐ気づいて「泥棒!」って言ったら、近くにある朝鮮学校の生徒さんたちが泥棒を追いかけてくれたんですよ。お金は結局戻りませんでしたが、その泥棒はこの周辺で何軒か窃盗していたので、しばらくして警察に捕まりました。朝鮮学校の生徒さんたちのお母さん方も「何かあったら言ってくださいね」とずいぶん親切にしてくれました。十条はトラブルもなく、とてもいい土地ですが、長く商売をしていて、そんなこともありましたね。でも、ご近所の方々はみんな温かいんですよ。

周辺案内

十条野鳥の森緑地

 地元の方々が整備する庭園と、野鳥が集う森からなる緑地。住宅地にありながら、野鳥のさえずる声が聞こえる緑地として、地元住民に愛されている。

北区上十条1-22-30
JR埼京線「十条」下車徒歩7分

地福寺

 岩槻街道沿いにある寺。門前には六体の地蔵尊があり、一番左の地蔵は古来から「鎌倉街道の地蔵様」と呼ばれている。参道は、かつて王子の名産であった茶栽培の名残ある茶垣の参道となっている。

北区中十条2-1-20
JR埼京線「十条」下車徒歩10分

編集後記

 穏やかにお話ししてくださった奥様。十条駅からはとても近いのですが、周辺は住宅地でとても静かな場所です。お休みはなく、営業時間が長いので、朝の出勤時や帰宅時にも利用でき、まさに町の灯台の名にふさわしい頼れるたばこ屋さんです。