代表 阿部 かね子
住所 〒167-0053  杉並区西荻南2-6-19
TEL 03-3332-0655

 西荻窪駅南口から南に伸びたバス通り沿いに、どっしりとして、間口の広い、歴史を感じさせる佇まいの阿部たばこ店さんがあります。西荻窪にはたくさんの商店街があり、個性的なお店も多く、昼夜利用客が訪れますが、このバス通りの商店街にも古い歴史があるようです。

お店の創業はいつ頃ですか?

車道に面した間口の広いお店です。

 奥様:昭和2年ですから、もう81年になりますね。主人は転勤族でうちにいなかったので、おばあちゃんと私でたばこ屋さんをしていました。ずーっとたばこ屋の看板ばあさんです(笑)。今の看板娘は息子のお嫁さんです。最近はたばこの銘柄が英語で書いてあるから読むのが大変ですね。私たちの学生時代はローマ字くらいしか習わなくて、英語を話すと敵国の言葉って言われた時代ですもの(笑)。だから、銘柄の英語を読むのは難しいですね。

このあたりは昔から商店街ですか?

最近では少なくなった公衆電話を備えています。

 奥様:昔はこの通りはずーっと商店街でした。昭和56年に火事があって、このあたりは11軒が焼けてしまったんです。火事のあと、建て直すのにも時間がかかるでしょ。そうすると、客層ががらっと変わってしまって、みんな焼けちゃったから気味悪がってお客さんも通らないんです。ですから、その頃のお店は厳しかったですね。そのとき、旦那さんの月給って尊いものだなと思いました。いろいろ災難もあって普段のありがたさがわかるものですね。

いろいろご苦労もされたようですが、今はご家族も多くて賑やかでいらっしゃいますね。

お店をずっと支えてきた奥様と、お嫁さん

 奥様:お店の上に、みんな一緒に住んでいます。息子夫婦と高校3年と高校1年と中学1年と小学1年の孫が4人いるんですよ。一番下の孫が店番が好きで、上の3人のお姉ちゃんたちは、この頃なかなか店番をしてくれなくなったけど、一番下の男の子はよくお店番をしてくれますよ。

お店の営業時間は?

趣ある和の見世棚に並べられたたばこからは歴史を感じます。

 奥様:うちは年中休みなしで、朝はだいたい8時には開けます。開けないと一階が暗いんですよね。夜は息子が降りてきて、7時か8時頃まで店をみていてくれるから、私たちは上に上がって休めます。上は子供がいて騒がしいけど、店を閉めちゃうと、この一階は密室になって静かなので、息子はお店をみながら一人の時間を過ごしているみたいです(笑)。

長年お店を続けていらっしゃって、接客などで気をつけていることは?

灰皿の隣には、お孫さんのあさがおが立派に成長しています。

 奥様:特別これということはないんですけど、お客様とは仲良くしてもらっています。たばこを買いにきてくれたら、ついでにお話して、お茶を飲んでお話されていかれる方もいるし、遊んでいってくれますよ。昔ながらのたばこ屋ですよね。主人がいないとお客様が多いんですよ(笑)。
 ご主人:だから私が店にいると、「奥さんいないの?」って聞いて、いると話をしていくんですけど、いないとお客さん帰っちゃうんですよ(笑)。

周辺案内

仲通街アーケード

 西荻窪駅南口を降りてすぐに「仲通街」の看板が目立つアーケードがあります。西荻窪には商店街が多く、アンティークショップや古本屋が多いことでも有名です。この仲通街アーケードは空中につるされた、名物のピンクの象があり、個性的で昭和の香りが色濃く漂う独特の雰囲気があります。

東京都杉並区西荻南2
JR中央線・総武線、「西荻窪」下車すぐ

西高井戸松庵稲荷神社

 昭和9年に隣村の鎮守西高井戸稲荷神社を合祀して「西高井戸松庵稲荷神社」と称しました。以来、松庵・中高井戸(西高井戸)両地区の鎮守となりました。 鳥居を入ってすぐ左側にたくさんのお狐さまが並べられた祠があり、ここにお狐さまのミイラが祀ってあります。

東京都杉並区松庵3-10-3
JR中央線・総武線、「西荻窪」下車 徒歩10分

編集後記

 昭和56年の火事の際、お店を兼ねたご自宅も焼けてしまい、大変なご苦労をされたとのことですが、今はたくさんのお孫さんと一緒に暮らし、退職したご主人とお嫁さんと一緒に、歴史あるお店を守っていらっしゃいます。戦中を経験されたというご夫婦ですが、とても明るくお元気でいらっしゃいました。