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3月13日、JT東京支店にて、平成24年度「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」が開催された。協議会では、たばこ業界における未成年者喫煙防止対策の取り組み、出席各位の未成年者喫煙防止対策についての報告がなされた。


たばこ業界と関係機関の強い連携及び、家庭教育も含めた地域社会全体での子供を守る・育てる意識が、未成年者喫煙防止活動の更なる成果に繋がるとして、積極的な意見交換が行われた。
また、タスポカードが導入された2008年7月よりのち、未成年者喫煙による補導件数は確実に減少している。一方、未成年者のたばこ入手ルートはコンビニエンスストアでの購入が多いというデータもあり、チェーン加盟店の協議会参加をよびかける声が昨年の本協議会であがっていたが、本年はそれが実現した。出席各位の様々な意見、質問、情報交換の声が飛び交った。


■JT東京支店
喫煙は、健康に関する情報を認識したうえで、一人ひとりが大人としての判断にたって喫煙するかどうかを、ご自身で決めていただくものである。未成年者は、心身の発達過程にあってそれぞれの性格及び生活様式が未確立であり、かつ判断力も十分ではなく、加えて、未成年者の喫煙は、法律によって禁止されている。

JTは未成年者にたばこを吸わせることを意図した活動は一切行っていない。JTは、企業としての社会的責任を果たす観点から、従来より関係団体と連携しつつ、未成年者喫煙防止のための諸対策を行っている。未成年者喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題でなく、家庭教育も含め社会全体で取り組む必要のある問題である。JTとしても、未成年者喫煙防止に向け、今後とも引き続き関係団体との連携を一層強化し、諸対策に積極的に取り組んでいく。

JTを含め、業界として現在行っている具体的な活動としては、全国のたばこ販売店の店頭等へ未成年者喫煙防止訴求ツール(バッジ・店頭用ステッカー等)の掲出。「未成年者喫煙禁止ステッカー」の自動販売機貼付。たばこ販売店の対面販売による「愛の一声」運動の展開。
マスメディア等による未成年者喫煙防止啓発広告活動。2012年度のキャッチコピーは『本当にやさしい大人は、ちゃんと注意できる大人です。』とし『未成年者の喫煙は大人一人ひとりが自覚し、社会全体で取り組む問題です。』として展開。また、地域における未成年者喫煙防止活動と、成人識別たばこ自動販売機の稼働、成人喫煙者向けに限定した広告・販売促進活動の実施。これらの活動を続けることにより、今後も未成年者の喫煙防止に努めていく。

また、2011年度のJT地域未喫防止協議会・キャンペーン実施回数は、全国合計各々124回、267回に達した。


■社団法人 日本たばこ協会
未成年者には、「売らない、買わせない、吸わせない」のスタンスで様々な取り組みを展開した。
学校が夏期休暇を迎える7月に関係団体(たばこ販売場所、未成年者が多く集まるカラオケボックス、インターネットカフェ等)と協力して、未成年者喫煙防止の問題に取り組み、社会全体の意識を高めることを目的とした「未成年者喫煙防止強化月間」を実施した。店頭訴求ツールを展開し、年齢確認を強調したデザインやポスター、ステッカー等の掲出を通じて、未成年者喫煙防止に取り組む姿勢と協力をアピールした。

全国の主要都市(40都市)の駅や広場での啓発イベント(全国たばこ販売協同組合連合会が主体)に参加およびポケットティシュを提供。また、全国の97%の中学校・高等学校に、未成年者向けのポスターを配布した。キャッチコピーは『僕を嫌いになる理由を、僕は作らない。』『わたしを嫌いになる理由を、わたしは作らない』。一方的に頭ごなしではなく、自ら気付いてもらえるような柔らかい表現のメッセージになるよう工夫したが、「生徒の反応も好評で道徳の授業にも使っている」との先生の声も聞かれた。今後も未成年者喫煙防止対策への取り組みを地道に継続的に行っていく。


■東京都たばこ商業協同組合連合会
かねてから未成年者喫煙防止に関する取組みとして、販売店頭でのポスターの掲出、自動販売機へのステッカー貼付による注意・啓発をはじめ、「愛の一声運動」などの活動を組織を挙げて積極的に行ってきた。2008年7月からはタスポの取り組みを全国で稼働。これにより、たばこ自動販売機は屋内も含め、昼夜を問わず未成年者のアクセスを排除できるシステムとなった。各地で開催されている未喫協議会等の報告によると、喫煙による補導件数については、タスポ導入後に大幅に減ったとの情報があり、効果があったものと認識している。

平成25年2月末現在のタスポ発行枚数は10,287千枚(東京都1,171千枚)、喫煙者発行率46.4%(東京都49.6%)。本年4月下旬より、インターネットを通じた申込方式を導入し、さらなる普及につとめる。

健康増進法以降、社会全体が喫煙しにくい環境となり、たばこ産業側にとっては厳しい10年であったが、さらに昨年6月、厚生省より喫煙率19.5%を10年後には12.2%に減らそうと、初めて数値目標が打ち出された。業界側としては困惑を隠せないが、それでも、今後とも、未成年者喫煙防止対策への取り組みを今まで以上に強化していく。


■一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会
CVSセーフティステーション活動推進委員会

日本フランチャイズチェーン協会には、東京都内のコンビニエンスストアのほぼ全チェーンが加盟しており、平成17年から、まちの安全安心に貢献する店・セーフティステーション実施店として、店頭にポスターを掲示して取り組んでいる。
セーフティステーション(SS)活動とは、コンビニエンスストア(CVS)が地域の皆さん・国・地方自治体のご協力のもと、社会的責任の一環として、「安全・安心なまちづくり」並びに「青少年環境の健全化」へ取り組む自主的な活動をいう。

青少年環境の健全化には、酒・たばこ販売時の年齢確認が重要となるが、加盟店共通の年齢確認ができる証明書のガイドラインを作った。お客様とのトラブルになりかねない年齢確認を円滑に実施するため、お客様への案内や告知を、ツール(POP・のぼり・バッジ等)・レジディスプレイへの表示・店内放送で積極的にアピール。さらに、年齢確認を促すための画面表示や音声をレジ清算の流れの中にシステムとして組み込んでいる。

また、従業員を採用する段階で、年齢確認の重要性を理解してもらうように、マニュアル・DVD・協会内のSS活動通信を使っての教育に取り組んでいる。さらに、親に頼まれて購入にきた場合の断り方など、状況に応じた具体的な教育をすすめている。

平成24年にチェーン加盟店で起きた、酒・たばこ購入客とのトラブルは、全国30,022件(東京都3,067件)。そのほとんどが年齢確認時に起きている。業界から国への要望として、酒・たばこ販売時の年齢確認において購入者に年齢証明義務を負わせるよう、法律・条例の改正検討を申し出たところ、和歌山県と神奈川県で条例が施行された。

未成年者へのたばこ販売により、コンビニエンスストアが摘発されるケースが増えている中、未成年者たばこ販売防止対策ワーキンググループを発足した。今後はこれを中心に対策を立ててゆきたい。平成25年度は、4月・6月・8月・10月を、未成年者飲酒・喫煙防止強化月間として、年齢確認を徹底して実施、関係団体との連携を積極的に行っていきたい。


■東京都青少年・治安対策本部 総合対策部
心の東京ルール~7つの呼びかけ~の中に、「他人の子供でも叱ろう」を掲げている。いかに他人の子供であっても、東京の子供は東京の大人で育てよう、
子供を変えるのではなく大人を変える、大人の意識改革に力を注いでいる。また、子供に対しては、万引きをしないこと、日常生活のルールをいかに守れるか、友達とお互いに気持ちよく生活できるか、悪いことはしない誘われても乗らない強い心を育てることに力を注いでいる。

子供の荒れの象徴の一つに暴力と喫煙がセットになっていた頃に比べると、現在は子供のたばこに対する興味は薄れているように思われる。タスポや社会の取り組みにより、子供がたばこに手を出しにくい世の中になっている成果と思われる。しかし、大人へのあこがれや家庭環境からたばこに手をつけ、それが習慣化するケースがゼロではない。今後も教育庁や警視庁との連携をとりながら、子供の健全育成・大人への啓蒙活動に力を注いでいきたい。


■警視庁生活安全部 少年育成課
昨年の少年の路上補導件数は、都内で52,403人。この2年間で10,000人程度減少していることになる。喫煙での補導は約12,000人と約4人に1人の割合で、平成22年の16,000人、平成23年の14,000
人と比べて年々減少傾向にある。その背景には、タスポの導入、対面販売での年齢確認徹底、路上喫煙の防止、マクドナルドでの喫煙禁止の影響も大きいと思われる。また、かつてのような、カラオケ・ゲームセンター・神社・公園などでの集団喫煙が見られなくなってきた。たばこの入手経路は、友人からもらった、親のをとったなど。中には、たばこを卒業した先輩からタスポをもらったというケースもあった。
警視庁の取り組みとしては、年度末と新学期が始まる3月、4月を「未成年者喫煙防止対策推進月間」として、街頭での未成年者喫煙防止に力を注いでいくとともに、直接学校へ出向いてセーフティ教室を行うなどの活動を行っていく。また、青少年が喫煙しにくい社会作りのため、喫煙している少年に直接注意できない場合は警察に通報してもらうよう、呼びかけをしていく。


■公益社団法人 全国少年警察ボランティア協会
少年警察ボランティアとは、警察本部長等から委嘱された民間スタッフである、少年補導員、少年警察協助員、少年指導委員等を総称するもので、地域における少年の非行防止や少年の保護を図るための活動の中心的な役割を担っている。非行や被害とそれらの防止を説いた小学生、中学生向けの「健全育成ハンドブック」小学生用5万部、中学生用5万部、計10万部を作成し、全国のボランティアの現場、小学校、中学校に無償配布している。この健全育成ハンドブックを活用しながら、街頭補導をメインに、各学校にも出向いて非行防止の手伝いをしている。子供の非行や犯罪を退け、安全で明るい社会づくりを目指している。


タスポ導入後、喫煙補導が減少を続ける一方で、対面販売の売場では年齢確認をめぐるトラブルが生じているなど楽観視はできない。出席各位の意見交換でも、対面販売での課題に焦点が集まった。コンビニエンスストアでの購入にもタスポカードをより有効的に活用してはどうかとの意見に対して、タスポ所持者はまだ喫煙者全体の46.4%であり、今後発行率が高まってくれば検討していきたいとの現場の声が交わされた。売りながら啓発活動をしなければならない対面販売の現場の苦労をねぎらう声も出た。未成年者喫煙防止推進には、互いの現場の課題を共有しながら、たばこ産業と関係機関と社会全体とがひとつになって、連携意識をさらに強めていくことで締めくくられた。