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3月5日JT東京支店にて、平成25年度「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」が開催された。協議会では、たばこ業界における未成年者喫煙防止対策の取り組み、出席各位の未成年者喫煙防止対策についての報告がなされた。たばこ業界と関係機関の強い連携、また家庭教育も含めた地域社会全体での子供を守る・育てる意識が未成年者喫煙防止活動の更なる成果に繋がるとして、積極的な意見交換が行われた。2008年7月より東京都でタスポカードが導入されたのち、自動販売機でのたばこの売り上げが激減する一方、未成年者の喫煙での補導件数も確実に減少の推移を辿っている。

しかし、小売店から24時間営業のコンビニエンスストアへの顧客流動の深刻化もまたあり、減少したとはいえ、喫煙で補導された未成年者のたばこ入手先に、保護者のタスポカードを使用、コンビニエンスストアでの購入等が報告に上げられている。前年より、日本フランチャイズチェーン協会にも参加いただき、コンビニエンスストアの未成年者喫煙防止対策も含め、出席各位の様々な意見、情報交換の声が飛び交った。


■JT東京支店
喫煙は、健康に関する情報を認識したうえで、一人ひとりが大人としての判断にたって喫煙するかどうかを、ご自身で決めていただくものです。
未成年者は、心身の発達過程にあってそれぞれの性格及び、生活様式が未確立であり、かつ判断力も十分ではありません。加えて、未成年者の喫煙は法律によって禁止されています。

JTは未成年者にたばこを吸わせることを意図した活動は一切行っておりません。JTは企業としての社会的責任を果たす観点から、従来より関係団体と連携しつつ、未成年者喫煙防止のための諸対策を行っています。
未成年者喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題でなく、家庭環境も含め社会全体で取り組む必要のある問題です。
JTとしても、未成年者喫煙防止に向け、今後とも引き続き関係団体との連携を一層強化し、諸対策に積極的に取り組んでいきます。

JTを含め業界として現在行っている具体的な活動として、全国のたばこ販売店の店頭等へ未成年者喫煙防止訴求ツール(店頭用ステッカー等)の掲出。たばこ販売店の対面販売による「たばこは20歳になってから」の「愛の一声」運動の展開。マスメディア等による未成年者喫煙防止啓発広告活動。2013年度のキャッチコピーは、「ちゃんと、見つめる。しっかり、向き合う。」サブコピーは、「未成年者の喫煙は、大人一人ひとりが自覚し、社会全体で取り組む問題です。」。
また、地域における活動として、東京都たばこ商業組合、TIOJ、自治体、警視庁等関係機関との「未成年者喫煙防止推進協議会」の実施、啓発活動として、関係機関と連携し、啓発物品を配布しながら未成年者喫煙防止を訴える。2013年度は、7月に渋谷駅西口周辺、他、渋谷・江東区民まつり等3カ所で実施した。2012年度のJT地域未喫防止協議会は全国で121回、キャンペーンは291回実施された。



■一般社団法人 日本たばこ協会
2013年度の取り組みについて、学校が夏期休暇を迎える前に、たばこの販売、及び未成年者が多く集まる施設運営に携わる団体と協力し、未成年者の喫煙防止に取り組むことにより、社会全体の意識向上を企図した「未成年者喫煙防止強化月間」を設けた。内容は、対面販売及び未成年者が集まる施設(カラオケボックス、漫画喫茶等)での店頭訴求ツール展開。街頭での啓発イベントの開催。中学校・高等学校での訴求ポスターの展開。

店頭訴求ツールでは、ポスター、システムステッカー、ステッカーを掲出した。
啓発イベントでは、全国たばこ販売協同組合連合会が主体となって、全国の主要都市で『街頭での未成年者喫煙防止への協力や呼びかけ』や『ポケットティッシュの配布』を実施。日本たばこ協会は、ポケットティッシュの提供及びイベント(4都市)への参加。2012年度と比較し、開催都市が増加した(40カ所→48カ所)。
学校ポスターでは、全国の中学校、高等学校へ未成年者向けのポスターを配布。学校内の掲示板等に掲出していただくことで、未成年者への直接訴求を実施。2012年度までは、モデルの顔を出さなかったが、未成年者へのより強いアピールのため、モデルの顔を前面に出し、キャッチコピーも共感を呼ぶものとした。


■東京都たばこ商業協同組合連合会
たばこ販売組合ではかねてから、未成年者喫煙防止に関する取り組みとして、販売店頭でのポスターの掲出、自動販売機へのステッカー貼付けによる注意・啓発を始め、「愛の一声運動」などの活動を組織をあげて積極的に行ってきた。

たばこは日常生活時間を通しての最寄品として、必要な都度一個買いする購入パターンが多い実態から、たばこ自動販売機は広く現代社会に普及した。このような実態から、特に零細・高齢なたばこ販売店にとって、たばこ自動販売機は極めて重要な販売手段となっていると同時に、お客様にとっても利便性の高い購入方法となっていた。しかしながら、管理の十分行き届かない一部の自動販売機について未成年者のたばこ購入を容易にしているとの批判がある事を踏まえ、業界が一丸となってタスポ(ICカード式成人識別たばこ自動販売機)の取り組みを平成20年3月から九州南部地区(鹿児島県・宮崎県)より順次展開し、同年7月には全国で稼働した。これにより、たばこ自動販売機は屋内も含めて、昼夜を問わず未成年者のアクセスを排除できるシステムとなった。各地で開催されている未喫協議会等の報告によると、喫煙による補導件数については、タスポ導入後に大幅に減ったとの情報があり、効果があったものと認識している。

今後は、タスポカードを大人が子供に貸与しないように、大人のモラル向上を訴えていくことと、店頭における未成年者喫煙防止対策への取り組みを今まで以上に強化していく。特に、平成20年9月16日付で3省庁(警察庁、財務省、厚生労働省)より、更に平成21年6月30日付で2省庁(警察庁、財務省)より「未成年者喫煙防止のための対面販売時における年齢確認等について(要請)」が関係団体に出され、平成22年4月19日付では同内容の再要請もなされており、対面販売時における年齢確認の徹底については、たばこ販売店にとって重要な課題として位置づけているところです。



■一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会 CVSセーフティステーション活動推進委員会
セーフティステーション活動とは、コンビニエンスストア(CVS)が地域の皆さん、国、地方自治体のご協力のもと、社会的責任の一環として「安全・安心なまちづくり」ならびに「青少年環境の健全化」へ取り組む自主的な活動をいう。

青少年環境の健全化として、酒類・たばこ販売時の年齢確認を口頭確認ではなく、身分証明書提示を求め、店頭やレジ周辺での告知を行うなど、お客様への啓発を行っている。年齢各にを円滑に行うための工夫例として、法律で定められた「売り場表示物」以外にも、レジでの告知掲示、レジ音声ガイド、レジ画面表示、店内放送などを各社が自主的に行っている。
日本フランチャイズチェーン協会としての取り組みでは、昨年、日本フランチャイズチェーン協会SS活動推進委員会内に、「未成年者への酒類・たばこ販売防止」を目的としたワーキンググループを設置。警察本部や関係各所からも協力をいただきながら、加盟店・本部社員向けの講習会・訓練を実施し、意識の向上と販売防止に努めている。

酒類・たばこ未成年者販売防止対策WGについては、未成年者への酒類・たばこ販売の撲滅を目指し昨年より活動を開始し、レジでのタッチパネル導入後、未成年者へのたばこの販売事案は2012年では、92.2%、2013年では85.7%と、減少傾向にある。また、CVS各社の販売事案の共有、成功事例の共有など、情報を共有し、各財務局による未成年者喫煙防止の研修をしていただき、営業責任者及び開発担当者が参加するなど、行政との連携も図る。
そして、コンビニエンス側からの要望事項として、酒類・たばこ販売時の年齢確認において、購入者に年齢確認証明書提示義務を負わせるよう、法律・条例の改正検討をお願いしたい。
今後の取り組みとして、4月・8月に未成年者飲酒・喫煙防止対策「徹底しましょう! 年齢確認」行政機関との連携を積極的に行って行く。


■東京都青少年・治安対策本部 総合対策部 青少年課
今、子供たちは簡単にたばこを入手できない環境にある。街中も禁煙になり、喫煙できない状況で、未成年者がいかにしてたばこを入手し、どこで喫煙するのかを見るのは、大人の目であり、教育というところからアプローチしている。
「大人が変われば子供が変わる。子供が変われば、未来が変わる」という視点から、大人が変わる啓蒙活動を通し、大人が模範となり、子供たちの規範意識の醸成をしていく活動をしている。

また、教育では、小学校・中学校の義務教育課程で保健体育における保健教育として、健康上の情報を子供たちに考えさせる指導をしている。道徳教育においては、路上喫煙禁止区域で、喫煙をしている大人のマナーについて、子供たちに考えさせる反面教育をしている。心の強さや弱さをどうやって克服していくかを考えさせる授業も行っている。
校内も全面禁煙となり、身近な大人が喫煙する姿を見る機会は減少した。大人に対する啓発活動も、心の東京革命であり、規範意識の醸成をしていきたい。青少年の健全育成条例において、喫煙場所を制限していき、教育との両輪と連携の中で活動している。


■警視庁生活安全部 少年育成課
警視庁からは、昨年の都内の少年補導状況と未成年者喫煙禁止違反取り締まりをした事案とあわせて、取り組みについて報告する。未成年者の喫煙での補導人員は年々減少している。都内の補導状況は、昨年一年間で喫煙、深夜徘徊で補導した人員は45,783人。その一昨年前と比べると、6,620人、約12.6%減少しており、平成20年から5年連続減少している。その中で、喫煙での補導状況は、10,486人。全補導件数の22,9%を占めており、約4人に1人が喫煙で補導されている。この10年間の喫煙での補導状況を見ると、平成15年の喫煙補導人員が23,429人。昨年は半数以下に減少している。ここ3年は、平成23年に14,171人。平成24年に12,479人。昨年が10.486人で、毎年おおむね2,000人ほど減少している。その減少した理由として、たばこが値上がりしたこと、喫煙できる場所が減少したこと、更にタスポの導入、販売店の年齢確認が徹底されていることなど、業界関係者の取り組みの成果が表れていると考えられ、未成年者喫煙防止に取り組む各関係者には厚くお礼を申し上げます。
昨年一年間に未成年者喫煙禁止法違反で、検挙した人員について、関東財務局に通報した件数が、21件22名。たばこの入手経路が判明した対面販売事案や、保護者による喫煙容認について、未成年者喫煙禁止法違反として、書類送検している。

警視庁の取り組みについて、警視庁では、学年末・新学期における少年の非行及び犯罪被害防止対策の一環として、3月中旬から4月上旬まで、喫煙防止に関する広報、啓発活動強化と取り締まりの徹底を行う。警察官による街頭補導強化とあわせ、少年補導員や母の会、少年警察ボランティアとの合同補導を通して、補導活動や喫煙防止キャンペーンを実施。その他、小中高等学校における、セーフティ教室や非行防止教育等の機会を通して少年の喫煙防止を指導。コンビニ経営者や販売店の年齢確認の徹底を直接口頭で各警察官が要請する。


■公益社団法人 全国少年警察ボランティア協会
少年警察ボランティアとは、警察本部長等から委嘱された民間スタッフである。少年補導員、少年警察協助員、少年指導委員等を総称するもので、地域における少年の非行防止や少年の保護を図るための活動の中心的な役割を担っている。

警察、学校、都道府県、市町村などと連携し、街頭補導や少年相談、少年の社会参加や居場所づくり、被害少年支援、広報啓発などの活動を行っている。
未成年者喫煙防止対策について、各活動地域の小中学校や地域において、非行防止教室や健全育成講習等を行い、参加する小学生、中学生、教職員、保護者等に対し、子供に関わる非行や犯罪、危険被害等の撤廃とともにそれらを防止するための説明、訴えをしている。その際に小冊子をテキストとして、配布。健全育成ハンドブックを小学生用、中学生用に制作し、身近な題材を取上げ、明快に説明している。昨年度は小学生用5万5千部。中学生用5万5千部、計11万部を作成し、全国のボランティア、小学校中学校、図書館等に送付し、活用いただいている。

小学生用では、「体によくないお酒とたばこ」という項目で小学生向けの平易な言葉で表している。中学生用では、「飲酒・喫煙/成長を妨げる」という見出しで記載している。こうした活動を行っている少年警察ボランティアを支援することを通して当協会は少年の周囲に多くの大人がいるものの、子供の問題行動に対し無関心であったり、黙認したりする傾向が多いのが現状と把握している。こうした状況下に勇気を持って声をかけていく活動が少年警察ボランティアには求められている。当協会では今後も社会全体がこの問題を正面から取り組み、少年の健全育成とそのためのよりよい環境づくりを実現するために問題提起や少年警察ボランティアの活動をより積極的に支援し、関係機関との連携を図っていきたいと考えている。
おわりに、未成年者の喫煙に関わらず、たばこを取り巻く環境はますます厳しいものがありますが、たばこ産業に関わる皆様の社会責任を全うする姿勢には当協会も心から敬意を表すとともに、今後とも協力させていただきたい。



■財務省 関東財務局 東京財務事務所
製造たばこ小売販売業の許可と未成年者喫煙防止への取り組みについて、参考までに平成24年度末現在、たばこ小売販売業者数は東京都内で22,369件と、前年度22,431件に対し、62件減少。ここ数年減少傾向にある。
未成年者喫煙防止への取り組みとしては、未成年者喫煙防止の観点から、成人識別自販機の導入が確実に行われるよう、平成20年7月以降の新規許可者に対しては、『自動販売機によりたばこを販売する場合には、成人識別自販機で販売すること。』をたばこ小売販売業の許可条件とし、それ以前の許可者に対しては、成人識別自販機の導入状況を調査のうえ、未導入者に対して上記の許可条件を付与し、これまでに改善等しない13者に対しては、次の行政処分を実施した。
1、1ヶ月間の営業停止命令(11者)。2、許可の取り消し(2者)。
今後とも、従来型の自販機でたばこの販売を行っている者に対しては、積極的に改善指導を行い、必要に応じて行政処分を行っていくこととしている。

また、成人識別自販機の導入、定着に伴い、未成年者が対面販売によりたばこを購入する事例が増え、未成年者喫煙禁止法に違反して、検挙されるたばこ小売販売店も増加。平成24年では592件。対面販売時における年齢確認の徹底を警察庁生活安全局長及び財務省理財局長からたばこ販売業界団体へ要請し、関東財務局としても、管内警察本部担当課長へ未成年者喫煙禁止法違反事件の検挙・処分時を依頼し、連絡体制を強化している。未成年者喫煙禁止法第5条違反の事実はあるが、処分を受けるに至らなかったたばこ小売販売業者に対しては、違反行為が再度行われないように、関東財務局としては、『今後、処罰された事実を確認した場合には、許可取り消し等の厳正な処分を行う』旨の「報告書」を送付して指導を行っている。関東財務局管内では、平成24年度269件。
以上、たばこ業種の最近の動向等について報告させていただいた。今後とも、財務局におきまして、地域との連携を深めていきたいと考えている。東京財務事務所としても、地域の皆様と一緒に未成年者の喫煙防止活動に取り組んでいき、今後、啓発イベント開催等情報をいただければ、当事務所も積極的に協力させていただきたい。


意見交換
現在まで、コンビニエンスストアからは、未喫防止キャンペーン等には、受動的な参加をしていたが、今後はコンビニ側から積極的にキャンペーン活動を展開し、地域の販売店等々、様々な関連団体に指示協力を仰ぎたいという意見や警視庁からは東京都内での各業界のイベント等に事前の情報をもらえれば、都内8カ所の各少年センターの要員ともに協力をさせていただきたいとの報告がなされ、各団体間で連携がますます強化されることに期待の声があがる。また、長年開催されている、本「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」につき、新たな団体を招聘することも視野に入れ、現在参加している各団体の意向を伺いつつ、今一度規約の整備を提案したいという、今後を見据えたより積極的な意見もあった。