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【1996/平成8年】
父が亡くなって6年、タバコで思い出すのは父の四十九日にお参りしてくれたかつてのご近所の奥さんの言った言葉です。「家の子が言ってたんですよ、Kさんとこのおじさん(私の父のこと)、かっこいいよねえ。ピースのタバコいつもくわえててしぶいよね。うちのお父さんと大違いだよねって」。酔ってだらしなく帰宅したり、自分の気紛れに家族を巻き込んでそれで家族を喜ばせたつもりでいたり、と私たちにしてみれば「かっこいい」とは程遠い存在の父が、他人からこんなふうに見られていたなんてビックリすると同時に、朝の忙しいときにも悠々とタバコをふかしてバス停に向かっていく父の姿を思い出していました。今でも、タバコの自販機を見るとピースを探してる自分がいます。
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