代表 黒須 輝人
住所 〒106-0045  港区麻布十番2-5-9
TEL 03-3402-0159

 2000年に麻布十番駅が開通して交通の便が良くなり、その数年後には六本木ヒルズ、ミッドタウンが開業するなど、六本木、麻布といえば、言わずと知れたおしゃれで高級な街の代表格です。麻布十番商店街は、誰もが知る老舗が並ぶ一方、観光客がお茶や食事を楽しむおしゃれな飲食店も続々とオープンしています。今回訪れたクロスギャラリーさんも、そんな麻布十番商店街の一角にあります。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

麻布十番商店街にある、たばこと洋服のお店です。

 ご主人:この場所での営業は、昭和54年くらいからです。店の創業者は私の父なので、私で二代目ですね。最初は、たばことスポーツ用品店だったんです。野球のバットやグローブ、サッカーボール、学校に跳び箱を卸すような店です。

 それが時代の流れとともに子供の数が減ってきて、スポーツ用具から、スポーツをするときに着るウェアに変わっていったんです。スポーツウェアでも、アディダスとか、ナイキのような一流ブランドだと、高いんですよ。

 そこまでの服じゃなくて、もう少し手軽に運動できる服というところから、だんだん変遷した結果、洋服屋になったんです。

今は「クロスギャラリー」ですが、スポーツ用品店のときは違う店名でしたか?

お話を伺ったご主人

 ご主人:昔は「麻布スポーツギャラリー」という店名でした。絵画を売ってるわけでもないのに、なぜ「ギャラリー」なのか、それはわからないんです(笑)。父がつけた店名でして、私は引き継いだだけなので。

 洋服屋にするとき、単に「スポーツ」を取るだけでよかったんでしょうけど、「麻布ギャラリー」になるとそれこそ本当のギャラリーに思われるだろうから、クロスギャラリーにしたのか、父のみぞ知るといったところです(笑)。

外国のお客様も多いですし、たばこの銘柄が豊富ですね。

婦人服、小物、アクセサリーも置いています。

 ご主人:銘柄数は270くらいです。一般流通品はほぼ置いてますね。お客様の嗜好がそれだけ細分化されているということじゃないでしょうか。

 特にこのあたりにお住まいの方は人と違うものを求める傾向にあるので、例えばメビウスの中でも売れない銘柄もあるはずなんですが、うちは全部取り扱っているので、どうしても多くなりますね。常連さんは、顔を見たらもうたばこは出ています。

 たまに常連さんの銘柄が変わったりしたときに「この人はこれ」って覚え込んじゃっているので、なかなか切り替えられないんですよ。私は41歳なんですが、もう頭がかたくなっているのかもしれませんね(笑)。

 それから、土地柄、外国のお客様も多いです。私は英語は喋れませんが、従業員の女性は英語が話せるのでそういう対応もできます。

ご主人はここで生まれ育ってご商売もされているということですから、地元の繋がりも強いでしょうね。

銘柄も豊富です。

 ご主人:ここ麻布十番商店街は、理事が40名ほどいて、私も一応理事を務めています。商店街の中には、45歳までの若手の青年会というものもあり、昨年まではその会長も務めていました。

 あとは、私には子供が4人いるのですが、港区立南山小学校のPTA会長も務めています。ですから、地元は強いですね。ここ麻布十番商店街は、知名度優先になっていて、うちのような物販の店は減って、新しい飲食店がどんどん増えてきているんですよ。

 でも、その入れ替わりも激しくて1~2年したら他のお店に変わってることもあります。地元のたばこ屋としての苦労は、そういう新しいお店の場所を聞かれることですね。実は、私どもは地元すぎて新しい店は探索しないで、昔からある地元の知り合いだったり、先輩・後輩の店に行くんですよ。だから、新しいお店って意外と知らないんです。

なるほど。地元ならではかもしれませんね。では、最後にご主人が商売上で気をつけていることは?

女性のお客様が多いとのこと

 ご主人:たばこは利益率が1割じゃないですか。言ってみれば薄利多売ですよね。なかなか物販で1割の商売ってないですよ。それが洋服のほうでも当たり前になってきていて、さすがに1割ではないにしろ、他のお店に比べると、おそらく安い値段をつけていると思います。

 だから同じ商品が他店より安い場合が多いかもしれません。ただ、安さだけを追求すると商品にまとまりがなくなっていくので、そのあたりはターゲットを絞っていかなければいけませんね。

 お客様からは「宝探しみたい」っていい表現で言っていただいてますが、どこに何があるかわからないっていうことでもあると思うので(笑)そのへんは工夫していきたいと思います。

周辺案内

麻布十番商店街

 ハイクラスなイメージの麻布十番ですが、商店街は歴史ある昔ながらの小売店も多く、下町風情も感じさせます。全国的に有名な洋・和菓子の店も多く、観光客が食べ歩きする姿もよく見られます。クロスギャラリーも商店街に加盟しています。

港区麻布十番2-3
都営大江戸線・東京メトロ南北線「麻布十番」よりすぐ。

賢崇寺

 寛永12年創建、佐賀鍋島藩歴代藩主の菩提寺。昭和11年2月26日に起きた陸軍の皇道派青年将校を中心としたクーデター未遂事件(二・二六事件)に関わった二十二士のお墓があります。

港区元麻布1-2-12
都営大江戸線・東京メトロ南北線「麻布十番」徒歩5分。

編集後記

 麻布十番商店街で昔からあるお店は、火曜日を定休日にしていたり、18時までの短縮営業をしているそうです。ご主人のお店も今後は火曜日を定休日にするとのこと。小学校のPTA会長、商店街の理事、4人のお子様の父親と、とってもお忙しいご主人ですが、地元の顔役として、これからも麻布を盛り上げていってほしいです。