代表 加藤 圭助
住所 大田区仲六郷4-34-5
TEL 03-3731-6857

大田区の南に位置し、多摩川を越えれば川崎市という六郷地区。

今回お訪ねする老舗酒店の(株)加討さんは、その昔は、旧東海道沿いにあり(現在は第一京浜国道沿いですが、旧東海道の道路は一部残っています)、西から江戸に入って最初の宿場である六郷川のそばで長年お店を営まれています。

ご家族でお店をきりもりする加藤さんにお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

加藤さんご家族。ご両親と姉妹です。
左から妹の昌子さん、ご主人、奥様、姉の育子さん。

ご主人:古いことなので詳しい年月はわかりませんが、法人にしたのが戦後で、昭和25年の2月1日です。店は私で7代目になります。

たばこは、戦前から扱っていました。

お名前は加藤さんですが、社名は加討さんですね。この討の字をあてた理由を教えていただけますか?

銘柄豊富で棚も綺麗です。

ご主人:家は酒屋で、戦後に店を法人化するときに、男兄弟3人で酒屋に関係した仕事に就いたんです。

そのとき、父が「兄弟3人でよく検討、討議しなさい」と言ったことで、社名を(株)加討にしました。

奥様:ずっと酒屋ですが、この(株)加討という社名の前は「茶碗屋」という屋号でした。現在、茶碗を売ってるわけでもないのに、茶碗屋。不思議でしょ(笑)。

ですから、未だにご年配の方は、うちのことを「茶碗屋さん」と言いますよ。

確かに酒屋さんなのに茶碗屋さんという屋号は不思議ですね。お店は今、ご家族皆さんで見ていらっしゃるのですか?

工夫を凝らしたラッピングは奥様と育子さんによるもの。

ご主人:そうですね。昔は自動販売機等の出張販売もしていましたから、店と配達とで忙しかったです。

育子さん:私は大学卒業してすぐに店の仕事をするようになりました。

奥様:お客様は、娘が小さい頃から知っているものですから、大人になっても夏の暑い日なんかは「配達で外に出るなら帽子をかぶりなさい」なんて、娘に言いますよ(笑)。

お客様に愛されていますね(笑)。今は育子さんが配達されているんですね。女性で重たい酒瓶を持つのは大変じゃないですか?

こちらも銘柄豊富な圧巻の酒棚です。

育子さん:子供の頃からやっていることなので大丈夫です。大学生のときは、五反田の出張販売先まで電車で運んでいましたから。

父は他の配達で忙しくて間に合わないし、定期券があるからいいでしょって。両手にたばこが大量に入った紙袋を下げて電車に乗って配達していましたよ(笑)。

奥様:店の定休日は日曜日ですが、地域のクラブの会や催し物は日曜日に開催されることが多いですよね。そうすると日曜日の配達をお願いされるんです。もちろんお断りしません。皆さん知っている方ばかりですから。

近い日にある日本舞踊の会も日曜の配達を頼まれていますが、そこには娘も習いに行っていましたので、よく知ってるんです。

地域の方々との交流、密接な繋がりがよくうかがえます。では、ご商売をされる上で気をつけていらっしゃることは?

第一京浜国道沿いの大きな酒屋さんです。

奥様:体の具合の悪いお客様に「歩けないけど、お買い物したいから迎えにきて」と言われて、すぐに車でお迎えに行き、お買い物をしてもらったあと、家まで送り届けました。

お客様も主人にはなかなか言えなくても、小さい頃から知ってる娘になら頼みやすいのかもしれませんね。

以前も、通院している知り合いの方が店の前で、なかなかタクシーをつかまえられずにいたので、娘が車に乗せて病院まで送っていきました。

でもそれも当たり前のことで、困っている人が目の前にいたら手を差し出しますよね。

ご主人:昔からやっている酒屋というのは、よろず屋ですからね。商売はお客様の多様なご要望に応えること。それがどんなことであれ、特別なこととは思っていませんよ。

周辺案内

六郷神社

天喜5(1057)年、源頼義・義家父子がこの地で軍勢を募り、石清水神社で祈念したところ、前九年の役で勝利を収めたので、その分霊を勧請したことが創建と伝えられている。神楽殿前の狛犬は大田区の文化財に指定されている。

大田区東六郷3−10−18
京浜急行本線「六郷土手」より徒歩10分

宮本台緑地

国道15号(第一京浜)が多摩川を渡る六郷橋のふもとに位置する公園。東海道を通る要所の六郷橋は、江戸時代から何度か架け直され、1925年に架けられた橋門と親柱が公園内に移設されている。

大田区仲六郷4−30
京浜急行本線「六郷土手」より徒歩1分


編集後記

お店のショーウィンドウやカウンターの上に、かわいらしいギフトラッピングの見本が飾られています。包まれているのは、お酒やたばこやお菓子。

バレンタインなどのイベント時には、お客様からたくさんご注文をいただくそうで、それはすべて奥様と育子さん、昌子さんでデザインして包んでいるのだといいます。毎年注文されるお客様もいるので、ちゃんとデザインも変えているとのこと。

地域の方々との交流やお客様との親しいやりとりのお話もたくさん聞かせていただき、心温まりました。お客様の気持ちに寄り添ってくれる加討さん。近くをお通りの際はぜひ立ち寄ってみてください。