代表 加藤 芳江
住所 品川区西品川2-23-12
TEL 03-3491-2730

品川区西品川にある秋葉園さんは、東急大井町線の下神明駅、都営浅草線の戸越駅、JR山手線の大崎駅からもアクセス可能な、海苔とお茶とたばこの販売店です。

このあたりは、江戸時代の風雅な雰囲気を残した庭園の戸越公園や文庫の森(公園)、しながわ中央公園などの広い公園があり、静かな環境とあいまって、のびのびとした暮らしやすい街です。

平和坂通り商店会にある、秋葉園さんの奥様にお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

お話を伺った奥様。

奥様:いつ頃かという詳しい年代はわからないですが、創業はたばこと本屋さんだったと聞いています。お店を始めたおじいさんとおばあさんには、子供がたくさんいたんですが、戦争と病気でみな亡くなってしまって、夫婦2人でここにいたそうです。

私の父は静岡出身なんですが、若いころ、この近くに下宿していました。それでここのおじいさんとおばあさんと懇意になり、おじいさんもおばあさんも心細かったのだと思います。

父に、うちに来てくれないかという話をして、父と母が結婚した年にここの「加藤」の養子になったんです。

とてもよいご縁だったんですね。それでは、本屋さんから今のお茶屋さんになったのは?

たばこの棚です。

奥様:おじいさんも年を取ってきて、だんだん本屋さんのほうが縮小してきたんですね。それで父が静岡出身なので、お茶の販売を始めて、それから海苔も扱い始めました。ですから、父の代では、お茶と海苔とたばこのお店でした。

私はひとりっ子で、小さい頃からずっとお店を見ていました。商売の家の子供なので「ちょっとお店見てて」と言われることも多くて、自然にたばこの銘柄の「いこい」とか「しんせい」とか覚えていったんですよ(笑)。

ひとりっ子の奥様は、小さい頃からこのお店を継ぐというお気持ちでいらっしゃったのでしょうか?

美味しいお茶も売っています。

奥様:お店を継ぐというより、いつかは両親も老いていくので、私が面倒を見なかったら誰が見るのという気持ちでいました。もし私が遠くに嫁いでしまうと両親を見られないですから。店を継ぐことは二の次でまずは、両親を見なきゃという思いがありました。

今は、家族8人で住んでいます。孫が4人いて、息子とお嫁さんと主人と私とで。父は7年前に亡くなりましたが、それまでは父も合わせて9人でした(笑)。

すごい! 4世代同居は賑やかでしょうね。お店にいらっしゃるお客様は常連さんが多いですか?

美味しいコーヒーもあります。

奥様:そうですね。このへんは坂が多くてここはちょっと高台なんです。お店にずっと通ってきてくださったお客様が高齢になって、坂を上ってくるのが大変になったので電話で注文をしてくださり、主人がいるときは店番をしてもらって、お客様の家に届けに行ったりします。

最近はLINEでスナックのママさんが注文してくださいます。お客様が吸っている銘柄の写真を撮って送ってくださるんですけど、最近は銘柄が細分化されていて、見慣れないたばこだと、写真見ても難しいですよね(笑)。パッケージの微妙な色合いの違いとか。

間違えたらいけないので、電話で確認したりもしながらですね。ですから、店での手売りは少ないですが、ご注文をいただくお客様が多くてありがたいです。

それでは、ご商売を営む上で気をつけていらっしゃることは?

品川の閑静な住宅街にあるお茶とたばこのお店。

奥様:自分がいいと思ってお客様にやっていたことが後から考えて「どうだったかな」と思うことがあります。でも、お客様に「あのとき、どうでしたか?」と聞くわけにもいかないですよね(笑)。ですから、その時々で後悔しないように一生懸命お客様に向き合って、接していこうと思っています。

なかなか、お喋りが先になって、うまくいっているかどうかはわかりませんが、そういう気持ちを込めて接客しています。

周辺案内

文庫の森

国文学研究資料館跡地を整備し、2013年に開園した公園。かつては肥後国(現在の熊本県)藩細川家の下屋敷だったが、1890年に財閥三井家の所有となり、1918年に三井家編纂室の三井文庫が発足した。現在は第2書庫が公園内に保存されている。

東京都品川区豊町1-16-23
東急大井町線「戸越公園」下車徒歩5分

戸越公園

肥後国藩主細川家の下屋敷の庭園跡を利用して造られた区立公園。回遊式庭園で梅、桜、藤、銀杏などの樹木が四季折々の表情を見せ、訪れる者の目を楽しませてくれる。薬医門(正門)、冠木門(東門)等、大名庭園の雰囲気を醸し出している。

品川区豊町2-1-30
東急大井町線「戸越公園」下車徒歩3分

編集後記

ご商売の家に生まれ、子供の頃からお店の手伝いをし、ずっとご商売に打ち込んでこられた奥様。丁寧で穏やかなお話しぶりで、聞いているこちらもほっこり優しい気持ちになりました。

お話の途中で、奥様が子供の頃のお店の写真を見せてくださいました。昭和20年〜30年代のたばこ屋さんは、ノスタルジックでかわいらしく、現実なのに古い映画のセットのようにも見えてわくわくしました。貴重な写真を見せていただき、嬉しかったです。

戸越銀座からも徒歩圏内のお店ですので、お近くをお通りの際はぜひ立ち寄ってみてください。