代表 秋山 青美
住所 〒102-0082  千代田区一番町6
TEL 03-3261-4467

 明治18年に、神奈川県出身の初代・秋山平助さんが創業した「相模屋平助商店」さん。現在は、4代目を継がれた娘の秋山青美さんと、3代目で現在社長のお父様、そしてお母様、従業員の方々とともに、お店を切り盛りしていらっしゃいます。今回は、そんな歴史ある「相模屋平助商店」さんの4代目・青美さんと、お母様にお話を伺いました。

店内にカフェが併設されていて、素敵ですね

カフェが併設されている店内

 お母様:ありがとうございます。1991年にビルを建て直し、カフェを併設したんです。それまでは、酒やたばこのほか調味料や食料品全般を扱うコミュニティストアだったのですが、バブルを境に、ずいぶんとオフィスビルが増えましてね。それで、地域のニーズに合わせて食料品の取り扱いを減らし、カフェを併設して、お酒とたばこをメインで扱うようになったんです。
 青美さん:カフェを作ったのは父のアイディアなんです。ビジネスマンの方が増えましたから、朝は出勤前に朝食をとりながら新聞を読み、昼は昼食後にコーヒーを飲みながら一服をし、夜は1杯飲みながら疲れを癒す──そんな場所が必要になるだろう、と申しましてね。おかげさまで、1日中途切れることなくお客様が来てくださいます。

時代の変化に合わせて、お店の運営を変えていくということが大切なんですね

社長、お母様、お嬢様と従業員のみなさん

 お母様:そうですね。最近では、たばこを吸う場所が少なくなってきていますから。そういった意味でも、ちょっと一服していただける、オアシスのような場所にしたいと思っているんですよ。普通なら、私どもがお客様に「ありがとうございます」って申し上げる立場なんですけど、最近ではお客様の方が「一服させてもらってありがとう」なんて言ってくださるんです。
 青美さん:うちの店はオフィス街にあるということもあって、たばこの売り上げはとても大きいんです。ですから、たばこを買ってくださるお客様には心から感謝しつつも、ご近所あっての我々ですから、喫煙マナーにも気をつけていただきたいという気持ちはありますね。だからこそ、たばこを販売するだけでなく、気兼ねなく吸っていただけるスペースをご提供したいと思っています。

代々受け継がれている、相模屋さんのポリシーは何ですか?

 お母様:やはり、お客様第一主義ということですね。どんなに忙しくても、お客様にはいつも笑顔で、平等に接するということが大切です。10円のものを買ってくださったお客様にも、1,000円のものを買ってくださったお客様にも、同じように心から「ありがとうございます」という気持ちで接することです。これは、私がこの家に嫁いで来た時に教えられたこと。娘や従業員にも伝えているつもりです。
 青美さん:あとは、お客様から「相模屋さんなら安心だ」と言っていただける店であり続けることですね。この辺りは、地域柄、官庁や大使館にお勤めの方も多いですし、昔から住んでいらっしゃるご年配の方もいらっしゃいます。ですからそういったお客様の信頼を損ねないように、私達一人ひとりが責任とプライドを持って仕事をしなくては、と思っています。

青美さんは、小さい頃からお店を手伝われていたのですか?

冷えた飲料がぎっしり

 青美さん:ええ。でも、幼い頃は、手伝うというより店で遊ぶのが楽しかったですね。自分では手伝っているつもりで、伝票に文字を書き込んだり、店の商品を並べ直したりしていたんですが、かえって邪魔になっていたようです(笑)。
 お母様:そうでしたね。お取引先様にも「伝票に落書きされちゃ困るよ」なんてお叱りを受けたこともありました(笑)。
 青美さん:ご近所の方は、みなさん私が相模屋の娘だということをご存じでしたから、私が外で遊んでいると「相模屋さん家のお嬢ちゃん」なんて声をかけてくださっていたんです。おかげで小学校1年生くらいまで“相模屋”が苗字だと思っていたくらいです(笑)。

4代目として、これから店をどのように成長させたいですか?

管理されている地下の酒蔵

 青美さん:三越や高島屋、紀伊国屋さんなどのように、店名がひとり歩きするくらい、“相模屋平助商店”をひとつのブランドとして確立したいですね。「相模屋で買えば安心だ、相模屋の店員なら信頼できる」と言っていただける店にしたいと思っています。
 そのほか、地域環境のことも考えていきたいと思っているんです。例えば、紀伊国屋さんが販売していらっしゃるショッピングバッグ。あれは主婦の方に人気がありますし、なおかつエコにも繋がっていますよね。あのバッグのように、相模屋から何かを発信していくことで、地域のオピニオンリーダーのようになれればと思っています。

お休みの日はどのようにリフレッシュされているんですか?

葉巻の種類も豊富

 お母様:私は仕事が趣味ですから、お休みの日に特に何かをするということはありませんね。今年で65歳になりますが、仕事をしているおかげで元気にさせていただいております。“死ぬまで現役”が健康の秘訣ですよ。お店でお客様とお話することも張り合いになりますからね。
 青美さん:最近では、従業員と交代で休みをいただいて、家族で地方の酒蔵や海外のワイナリーへ見学旅行に出かけています。それも良いリフレッシュになっていますね。

周辺案内

英国大使館

 千代田区は、大使館や皇居などがあり、緑豊かで異国情緒あふれる町並みが特徴です。なかでも、1872年以降に現在の場所に建てられた「英国大使館」は、地域のシンボルとしてどっしりと居を構えています。英国大使館内や周辺には、たくさんの桜の木が植えられており、春になるとピンク色の桜の花が地域の人々の目を楽しませてくれます。

編集後記

 伝統を守りながらも、常に時代のニーズを読み、新しいことにチャレンジし続ける4代目の秋山青美さん。いつも、そばで青美さんを支えていらっしゃるお母様、ご意見番として助言をされる3代目のお父様、まるで家族のような従業員の方々と共に、相模屋の看板を守っていらっしゃる姿が印象的でした。これからも地域のオアシスとして、良いお店を作っていただきたいですね。