代表 高野 廣雄
住所 〒130-0022  墨田区江東橋3-9-21
TEL 03-3631-5070

 錦糸町駅にほど近い、賑やかなエリアに位置するコウノ商店さん。繁華街にあるお店ならではの工夫や、ご苦労もあるようです。お店には、壁いっぱいにたくさんの銘柄のたばこが並びます。もともとはお菓子屋さんを営まれていた御主人。これだけの品数のたばこを扱うようになった経緯や、お客さまのためのアイデアをお聞きしてきました。

この場所でお店を始められたのはいつ頃からでしょうか?

 昭和51年です。もともとは、すぐ近くに、今現在はみずほ銀行になっていますけど、江東デパートという、東京都交通局の外郭団体が経営する下町で一番大きなデパートがあったんです。そこのテナントで私は菓子屋を5年ほどやっていたんですね。

それでは、江東デパートで5年ほどお菓子屋さんを営んでから、今のお店に移ったのですね。

たばこの品揃えは豊富です。

 そうですね。それは江東デパートの老朽化に伴い、テルミナという素晴らしい駅ビルができたおかげで、お客さまがどんどんそちらに流れてしまいましてね。それで先行きを色々考えていましたところ、私のところに出入りしていた銀座木村屋というパン会社の営業の方が高野さん、こちらのお店より場外馬券売り場近くのお店のほうが小さくても良く売れると思いますよ」と言ってくれまして。ちょうど今のお店をやっていた大家さんが病気になり、お店を辞めて誰かいい人に貸したいという相談をその営業の方にしていたらしいんですよ。それで私に話が来たんですよね。

こちらのお店に移ったときは忙しかったでしょうね。

お店前にはお茶うけになるお菓子を置いています。

 忙しかったですよ。江東デパートの菓子屋のときは私はまだサラリーマンだったので、兼業だったんです。仕入れは私がして、店番は女房がしていましたが、こちらに移ってからは、近くに場外馬券売り場があったので、よく売れました。「とても私だけじゃ無理」と女房に言われましてね。それで計算してみたら何とか食べていかれるかなあということで、思い切って脱サラというんですか、勤めを辞めてこの商売専業ということになったんです。

その頃からたばこを扱っていたのですか。

 ええ。先代の方が扱っていましたが、世襲でない限り許可をいただけないので、いったん先代の方がやめた後、それから新たに申請して許可を得ました。たばこと食料品、お弁当やパンなどを扱っていまして、競馬が開かれる日はとても忙しく、金曜と土曜日は、私は店の上の倉庫に寝袋を持って泊まり込んでいました。10時頃まで店を開けて、それから食事をして風呂に入って倉庫で寝て、翌朝6時に起きて商売を始めるというのを6、7年続けました。そのときが私の一番いい時代だったんじゃないかなあ(笑)。

お弁当やパンなどの食料品を扱いつつ、たばこが占める割合が多くなってきた理由というのは?

自動販売機にはないパッケージのたばこが目立ちます。

 平成に移る頃、グリコ・森永事件という忌まわしい事件がありましてね、とにかくお菓子類が売れなくなってしまったんです。お客さまが怖がってしまいまして。それと、場外馬券売り場の職員の方も機械化のあおりを受けて大幅に減ってしまったんです。職員の方たちは、行きがけにうちでお弁当やお菓子を買っていってくれたんですが、その方たちが半分以下に減ってしまいまして、お弁当の売上げも落ちて。それでとにかく活路を見いださなくてはということで、だんだんとたばこを増やしていきました。たばこの自動販売機を自分で買って、とにかく販路を広げました。自動販売機を雑居ビルや保険会社のビルなどにお願いに行って増やしていったんです。

それでは、御主人が管理している自動販売機を回っている間は奥様がお店をみているのですね。常連さんなども多いでしょうね。

珍しいたばこに、ついつい手がのびます。

 多いですね。たばこの銘柄が多いので、わざわざ近隣の区からいらっしゃるお客さまもいますね。競馬のある日は千葉のほうからいらっしゃるお客さまが「近所にはこういう銘柄がないから」って、まとめて買っていってくださいますね。コンビニさんと格差をつけた商売をしないといけないので、私は今まであまり売れていなかったものや、よそでは売っていないものも意欲的に仕入れました。そうしたら不思議なもので、固定客が増えまして、他では売ってないからって、いっぺんに3カートンくらい買っていって下さいましてね。そういうお客さまは嬉しいですね。女房も、もともと接客業に就いていたものですから、お客さまに接するのは慣れているんです。お客さまの顔を覚えて、遠くから歩いてくるのを見て「はい」とたばこを渡したりしてね。愛想良くやってくれています。

お客さまもそういうお店で購入するのは気持ちがいいでしょうね。

下町の温かい雰囲気がにじみ出る御主人と奥様の幸子さん。

 とにかくコンビニへお客さまが流れないように、お客さまを引き止めるにはどうしたらいいか、ということばかり考えました。コンビニがいくら手を広げても扱いきれないたばこの銘柄はいっぱいあるんですよね。ですから、まずそれを集めるということ。それから、この界隈は飲食店が多いので、その従業員さんが開店前に揃えるたばこがあるんです。それはお客さま用のものも従業員用のものも、まちまちですから、コンビニに行っても全部揃わないことがあるんです。でも、うちに来れば、たばこなら何でも揃うからということで、来て下さいますね。それから、最近は、お得意さまの飲食店さんには硬貨の両替サービスも行っています。最近の銀行さんの両替機の利用には制限があるようで、「それならば、たばこを買うついでに両替も」と来て下さる従業員の方も増えて、重宝されているようです。

周辺案内

錦糸公園

 錦糸町駅北口から徒歩1分の便利な場所に位置する大きな運動公園。児童公園、遊具広場、噴水広場、野球場、体育館、夏期にはプールも開かれ、地元の人々に親しまれています。毎月一度のフリーマーケットは、下町方面では一番歴史が古く、広く人々に浸透しています。

住所:東京都墨田区錦糸4−15−1
JR総武線「錦糸町」下車 徒歩1分

亀戸天神社

 学問の神様とされる菅原道真公をお祀りする亀戸天神社は、梅や藤の名所として江戸時代から多くの人々に親しまれてきました。寛文2年(1662)九州太宰府天満宮の神職が飛梅の木で菅原道真の像を造り、祀ったのが創建といわれています。

住所:東京都江東区亀戸3−6−1
※JR総武線、地下鉄半蔵門線「錦糸町」下車 徒歩15分

編集後記

 時代時代でいろいろなことが起っても、常に御主人の工夫と熱意によってお店を守られてきたのだと、お話を聞きながら感じました。休日は、ゴルフに行ったり、お孫さんのお相手をしたりと、常にお忙しく過ごされているようです。活動的でアイデアに溢れた御主人と優しい奥様の営まれる、下町の頼れるたばこ屋さんでした。