代表 浦和 宏之
住所 新宿区百人町

 大久保通りに面した立地でご商売をされている、「岡田屋精米店」。通りを歩いてみると、すれ違う人々の半分以上は東南アジア、韓国・中国といったアジア系の方々だと気付きます。飲食店もまさしく多国籍エスニック!この土地ならではの、グローバルなお話を聞くことができました!

この土地でいつ頃からご商売をされているのですか?

人通りのにぎやかな、お店の正面。

 宏之さん:先代が米屋を始めたのは大正14年ですから、77年目ですね。ずっとお米が主体でやっていったんですが、ここのところはたばこの売り上げの方が多いですね。今は、娘2人にたばこのことは全て任せてあります。おかげさまで、出張販売も孫が担当しているんですが、8件させていただいています。

たばこを扱うようになったのはいつ頃から?

大久保通りはエスニックなお店が多数ひしめき合っています。

 宏之さん:昔、米屋にはたばこの販売許可はおりなかったんですよ。なぜかというと、米ヌカのほこりが、たばこの香りや味を損ねるから。専売公社時代にはたばこの保管の指導が厳しかったから、ほこりがつかない様にガラスのケースを用意しないと許可はおりなかったんですよ。昭和43年にやっと許可がおりて、扱えるようになりました。

大久保通りは、外国の方がたくさんいらっしゃいますね。

 宏之さん:昔は、木造の安いアパートが多くて、仕事や勉強しにきた外国の方は、まず始めはそういう安い所をめざして大久保辺りに来たみたいですね。20年以上前、北新宿に"国際学友会"という東南アジアの方々のための施設でができたんで、そこを中心に生活するようになったのも影響しているでしょうね。

やはり、売れているたばこの銘柄は、違ってくるんでしょうね。

たばこのウィンドウの前で、ご主人の浦和宏之さん。

 京子さん:中国のお正月は、日本とひとつき遅れくらいでしょ。その時にお土産として日本の字で書かれた"峰"だとか、デザイン変更前の"カスタム・ライト"を15カートンくらい買って帰りましたよ。皆で分けて持って帰るんじゃないんですかね。自分で吸うのに関しては、日本に来たばっかりの頃は"マルボロ"です。少し日本に馴染んでくると、"マイルド・セブン"系に変わって、そこに落ち着きますね。やっぱり、生活しているその土地のたばこが一番おいしいんじゃないんですか。自国のたばこはめったに買わないですよ。

文化の違いを感じることなどはありますか?

“看板娘”の浦和京子さん(右)、木塚ひろ子さん(左)。

 京子さん:日本人の場合だと、一度に何カートン買ってもサービスのライターは「1つでいいよ」って感覚ですよね。外国の方は、15カートン買えば「15個下さい」って言いますね。一番の違いは、日本人の常連のお客さんは「言わなくても出せよ」っていうのが普通でしょ。外国の方は、自分の買おうとしているたばこを、自分が言う前に差し出されたりなんかすると、「何だコイツは」って顔をされますね。

外国のお客さんと接する上で、ご苦労などはございますか?

カウンターの中にはきれいに整理されたたばこがたくさん並べられています。

 京子さん:一番苦労するのは値段説明をするときですね。日本は何個買ってもたばこの値引きはしませんよね。外国ではまとめて買うと安くなっていくみたいなんです。その違いから「まとめて買っているのに、どうして安くならないんだ」って納得がいかないみたいですね。アメリカはお店一軒ごとに値段が違うみたいだから、日本でも納得するまでは、一軒一軒尋ね歩いてるみたいですよ。

最近気になる業界のニュースなどはございますか?

 宏之さん:個人的に気になるのは、どうしたらお客さんに喜んで買っていっていただけるのか、私の店ではこんな工夫をしていますよとか、いろんなお店の意見を聞きたいですね。いい話を聞いては、実際に店舗を見に行ったりしてるんですが、これでいいのかなって不安もありますからね。まだまだ勉強しないといけないことが山ほどあります。目指すは、たばこ屋を2・3件通り過ぎてでも、うちの方へ足を運んでいただける、そういう店作りです。

周辺案内

皆中稲毛神社

 江戸の西側の守りとして1602年に設立された「鉄砲百人組」。幕末まで現在の新宿区百人町に定住し、徳川将軍家の警備や江戸城大手三門の守備をはじめ、日光東照宮、京都参上の折などに隊列を整えて将軍のお供などの任務を果した。「百人町」の名前の由来はここから来るもの。
 百発百中を意味する「階中」神社として、競馬、宝くじ、受験生の祈願も多いそう。また、近年では人隊行列を復活させて、皆中稲荷神社で出陣式を行い、当時百人組が住んでいた百人町界隈をまわるという。

編集後記

 アジアの人々は、アメリカのような極端な禁煙ブームではないため、よくたばこを買いに来られるそうです。「言葉は大丈夫ですか?」と尋ねたところ「なんとな~く、ジェスチャーも使って、妹と私には通じています」と、明るい笑顔でお答えいただきました。
 娘さん達が休憩などでたばこの店番を離れた時には、ご主人が変わりに店番をすることがあるそうです。そんな時に、お客さんの中には「たばこくれ」ではなく、「娘たちはいないのか!」と不機嫌な顔をされることもあるとか。看板娘であるお二人とお話するのを楽しみになさっているんですね。