代表 塚田 国男
住所 〒177-0041  練馬区石神井町3-17-12
TEL 03-3996-8698

 石神井公園駅から伸びる、人通りの多い商店街のなかほどに菊香堂さんがあります。取材にお伺いした日は大変な暑さで、普段はお店の外にいる看板犬のドロップ君とココアちゃんもお店のなかで涼んでいました。この地で長い歴史があり、地元の人に親しまれている菊香堂さんの三代目ご主人にお話をお伺いしてきました。

創業はいつ頃ですか?

ストックが豊富です。

 ご主人:祖父の代から商売を始めて、80年くらいになります。和菓子屋としてここで商売を始めました。ついこの間までは和菓子屋をやっていたんですが、親父が入院したり、嫁さんが体調崩したりということがありまして、和菓子を毎日お店に並べるのが厳しくなってきたんです。たばこでそこそこ売り上げがあるので、一本に絞ってもやっていけるかなということで、たばこ専業にしました。看板にはまだ和菓子って書いてありますけどね(笑)。

屋号は和菓子屋時代のものですね。

近く、お店を改装する予定とのことです。

 ご主人:そうですね。工場はまだ残っているので昔からの常連さんからは、注文があれば受けたりしています。常連さんたちは「おじいさんの作ったおはぎは美味しかった」なんて言ってくれますね。昔から知っている人たちですから僕のことはいつまでたっても「伊佐男ちゃん」なんですよ(笑)。「伊佐男ちゃんもお菓子作らなきゃだめだよ」なんて言われています。ありがたいことですよね。歴史は簡単に作れないですから。

たばこを扱い始めてからはどれくらい経ちますか?

屋号も和菓子屋さん時代の名残があります。

 ご主人:40年くらいですかね。自動販売機のない専売公社の時代です。たばこも昔からの常連さんが多いですね。それこそ、たばこを吸うことをやめちゃったような方でも顔を出していただいています。今、親父が入院しちゃっているので、「親父さん、どうしてる?」なんて声をかけていただくこともあります。

接客の際に気をつけていらっしゃることはありますか?

今現在お店を切り盛りしている三代目・伊佐男さん

 ご主人:お店に置いていないたばこも、頼まれたらすぐに取り寄せるようにしています。それだけは心がけています。だから変わったたばこがどんどん増えちゃうんですよね。菊香堂さんなら置いてあるんじゃないかって、けっこう遠くから来て下さる方もいますし。それこそ、同じものを売っているのに、わざわざうちのお店に来てくれるお客様は大切ですよね。犬をなでにくる人もいますよ。うちの看板犬です。おじいちゃんのドロップと娘のココア、ココアの息子でビターも奥にいます。

近くの学校で剣道も教えていらっしゃるとか。お忙しいでしょうね。

お店の前で、暑さにちょっとバテ気味のドロップ君とココアちゃん

 ご主人:そうですね。犬も三匹いますから、大変ですね。途中で投げ出すことができないものばかりだから、やめるきっかけがつかめない(笑)。和菓子屋のほうもスパッとやめちゃえばいいんだけど、先代が築いたものだし、歴史があるものですからね。でも、もうぼちぼち建物を建て直す時期なんです。近々、内装関係の人が来るので、たばこ専業スペースに変えようと思っていたところなんですよ。テレビを置いて応接室みたいにして、中で喫煙できるスペースを作りたいですね。商売やっててもお客さんが来てくれないと面白くないんですよ。だからゆっくり接客できるお店にしたいと思っています。

周辺案内

石神井公園

 三宝寺池、石神井池の二つの池を中心とした広大な公園です。武蔵野の自然が残されており、石神井城跡とこれに関する幾つかの遺跡があります。多くの水鳥が飛来し、カルガモやカイツブリは、一年を通じて観察できます。また、大小の野球場、野外ステージ、アスレチック広場も設置され、訪れる人々を楽しませてくれます。

東京都練馬区石神井台1・2丁目、石神井町5丁目
西武池袋線「石神井公園」下車 徒歩7分

和田堀緑道

 石神井公園の石神井池東端から都営南田中団地に向けて延びる、木立に囲まれた緑道です。所々に小さい広場やベンチが設けられているので、緑を眺めながらの散歩中に休憩もできます。緑道脇には、石神井池から汲み上げた水を用いた小川が造られてあり、夏場は涼しさを感じます。

東京都練馬区石神井町3-3
西武池袋線「石神井公園」下車 徒歩5分

編集後記

 ご主人のお話をお聞きしていると、この地に三代に渡ってお店を構える菊香堂さんは、本当に地元の方々に愛されているのだなと感じました。「歴史は簡単に作れないですから」とご主人は仰っていましたが、まさにその通り、親しみと誠実、信頼と感謝の気持ちがこのお店の歴史を作ってきたのだと思いました。