代表 山田 幸雄
住所 〒146-0083  大田区千鳥3-22-10
TEL 03-3759-8215

 東急多摩川線の武蔵新田駅と東急池上線の千鳥町駅。どちらの駅にも近い、便利な立地に山田菓子店さんがあります。お店のなかは、たばこ、お菓子、食品、日用品、事務用品と、豊富な品物群がきっちり並んでいます。こちらでお店を始めて50年経つご主人にお話を伺ってきました。

創業されたのはいつ頃ですか?

ご主人と奥様のおふたりで、長年お店を守っています。

 ご主人:昭和33年です。はじめにお店をやっていたのは、家内です。その頃、私はサラリーマンでしたけど、胃潰瘍で大きな手術をしたんです。その病気があったことと、会社で転勤が多かったことに加えて、当時ちょうどお店が良くなってきていて、家内も一人でお店を回すのは大変だからということで、私が会社をやめてお店を手伝うようになったんです。私がお店に入ったのは昭和34年ですから、私自身はちょうど50年続けていることになりますね。

もともとはお菓子屋さんだったんですね。

お店の一角にある棚には、たくさんのたばこがきれいに並べられています。

 ご主人:そうですね。菓子パンとお菓子と、缶詰などの食品を扱っています。私がお店に入った頃は、日本も高度成長期に入っていて、洋菓子は人気がありました。クリスマスにデコレーションケーキや、アイスクリームのケーキが販売されたときなどは、お店の外にまでも買いに来たお客さまが並んでくれました。あとは、近所に小学校があるんですが、土曜などはお昼になると、たくさんの子供たちがパンを買いに来てくれましたよ。

たばこを扱い始めたのはいつ頃からでしょうか?

お菓子、日用品のコーナーも種類豊富に取り揃えています。

 ご主人:昭和37年か38年頃だと思います。ちょうど叔母が荏原にあるお店でたばこを扱っていまして、「たばこはいいよ」と勧められたこともありましたし、このあたりにはたばこ屋がなかったものですから、「たばこが欲しいよ」といったお客さまからのご要望もありました。いちばんびっくりしたのは、12月の暮れにたばこ販売の許可が下りたときに、ショートホープの10個入りの箱が飛ぶように売れたことです。ちょうどお歳暮用やお年賀用に、包装してあるたばこが用意してあったんですよね。お歳暮用のようかんの詰め合わせなどと一緒に、たばこもよく売れて、驚きました。

会社員からご商売に変わって苦労されたところはありますか?

閑静な住宅地に品物豊富なお店があると便利です。

 ご主人:お店に入ったのは、まだ30歳になったばかりの頃でしたし、もともと会社の仕事も対外的なものが多かったものですから、人と人とのふれ合いについては、案外と苦労はなかったです。それから、昔、私の母が裁縫の塾を開いていたので、小さい頃から常に周りには人の出入りがありました。ですから、人様に対して「いらっしゃい」「ありがとうございます」という言葉は当たり前のような感じでしたね。

お客さまとのふれ合いで印象に残っていることはありますか?

たばこの自動販売機もありますが、手売りが多いとのことでした。

 ご主人:昔は近所に精密機器工場の社宅があったんです。学校を卒業して、上京してきてその社宅に住んでいるという若い男の子、女の子が多かったから、そういう従業員たちが夜勤の仕事を終えて社宅に帰ってからパンやアイスを買いに来てくれてたんですね。未だにそういった、昔は社宅に住んでいた人たちが時々来て、「おじさん元気?」なんて声をかけてくれます。そういうことは嬉しいですよね。みなさん、冗談のひとつでも言いながらお店に寄ってくださいます。やっぱり人的な繋がりや交流が大切ですよね。それがこういうお店のいいところじゃないですか。

周辺案内

下丸子公園

 多摩川の旧跡「矢口の渡し」の景観を模して作られた緑豊かな公園です。公園内にはテニスコート、フットサルコートがあり、こども広場にはたくさんの遊具が設置され、地元の人々に愛されています。

東京都大田区下丸子4-21-2
東急多摩川線「下丸子」下車 徒歩10分

新田神社

 御祭神は知・勇ともに優れた武将として知られる新田義興公です。福を招く霊験あらたかな神様として、地元の人々はもとより、遠方からの参拝者も多く見られます。御神木である欅は樹齢700年とも言われています。

東京都大田区矢口1-21-23
東急多摩川線「武蔵新田」下車 徒歩3分

編集後記

 ご主人は連合自治会や町会の会長さんもされているため、地域の歴史にもとてもお詳しく、お話させていただいた時間はあっという間に過ぎていきました。長い間、ご夫婦お二人でお店の歴史とお客さまとの交流を築いてきたお店です。ご主人の温かな言葉から、お店にいらっしゃるお客さまや、地域への愛情がひしひしと伝わってきました。