代表 高坂 護正
住所 〒145-0065  大田区東雪谷2-4-14
TEL 03-3720-5802

 東急池上線石川台駅北口前に位置する高坂たばこ店さん。駅前とあって、閑静な住宅街でも人の行き来が絶えません。線路沿いの長い坂と、レトロな駅舎のある石川台は、映画やドラマのロケ地としても人気があります。この地で長くご商売を営まれている高坂さんご夫婦にお話を伺ってきました。

創業されたのはいつ頃でしょうか?

仲むつまじいご主人と奥様

 ご主人:昭和13年創業で、私は二代目ですね。この辺は住宅地なので、会社帰りのお客様が多いんです。ですから、夜は9時まで開けています。駅前なので、昼も人は多いですが、やっぱり夜が勝負ですね。店を開けていると面白いですよ、毎日変化がありますから。

創業からずっとたばこ屋さんでしょうか?

駅前のたばこ専門店ながら、店内はひろびろとしています。

 ご主人:以前はお菓子の中村屋もやっていたんですよ。でも、お菓子のほうがあまりよくなくなってきたので、たばこ専門にしました。ですから、駅前でたばこだけの店の割には広いほうだと思います。店のドアも一日開けて、お客様が入りやすいようにしています。自動販売機もあるんですが、ほとんど手売りなんですよね。皆さん店の中に入ってきてもらっています。冬は寒いんですけどね(笑)。

お客様とけっこうお話をされていますね。

お客様が立ち寄りやすいよう、ドアは常に開けられています。

 ご主人:そうですね。顔見知りの方が多いので、よく雑談していますね。店の中の椅子に座ってお話をしていくおじいさん、おばあさんもいらっしゃいますよ。あとは道案内も多いですね。道を尋ねるお客様も多いので、すぐに教えてあげられるように、この近辺の地図を置いています。たばこ屋は町の灯台・道しるべって言われてるでしょ。母の教えで、人様に親切にすると、すぐに自分に返ってこなくても、回り回ってお世話になる可能性もあるからと、たばこを買われなくてもね(笑)。

ご商売をされる上で気をつけていらっしゃることを教えて下さい。

一日二回掃除される灰皿

 ご主人:お客様とのコミュニケーションですね。最初はお店に来てもしゃべらなかったお客様が、慣れてきて話してくれるようになったりすると、嬉しいですね。あとは、外に灰皿を置いているんですが、一日二回洗うんです。駅前だし、すぐに吸い殻でいっぱいになるんですよ。いつも綺麗な灰皿だとお客様も気持ちがいいでしょう。綺麗にしてくれてありがとうって言ってくださるお客様もいらっしゃいますよ。

思い出に残っていることはありますか?

在庫も豊富に揃っています。

 ご主人:独身の頃にサンケイ会館という所で、販売コンクールみたいなものがあったんです。舞台の上でプロの俳優さんが酔っぱらいのお客様の役で、そのときの接客の対応を競うというもので、私は大田区代表で行ったんですが、ぶっつけ本番だし、舞台に上がったら舞い上がっちゃって、いつの間にか終わっていたという感覚でした。もう40年以上も前のことなので、あまり覚えていないんですが、今となってはいい思い出です(笑)。

周辺案内

雪ヶ谷八幡神社

 創建は永禄年中と誌され、ご祭神は誉田別命(第15代応神天皇)、雪が谷の鎮守として、古くより土地の人々の崇敬を集めてきました。また、不世出の大横綱と称えられた大鵬関が奉納した「出世石」があることでも有名です。

東京都大田区東雪谷2-25-1
東急池上線「石川台」下車 徒歩2分

石川台希望ヶ丘商店街

 駅から約2分ほど歩くと、見通しのいい一直線の商店街が約600メートル続きます。閑静で昔懐かしい風情を残す石川台は、映画、ドラマなどで舞台になることが多く、最近では山田洋次監督作品「おとうと」で希望ヶ丘商店街がロケ地となりました。

東京都大田区東雪谷2-11~3-27
東急池上線「石川台」下車 徒歩2分

編集後記

 終始にこやかに楽しくお話をしてくださったご主人と奥様。3年前に倒れて大きな病気をしたというご主人ですが、奥様の献身的な支えと、ご商売で毎日人とお話しすることがリハビリにもなり、大きな障害は残らなかったということです。いつまでも石川台の灯台として、たくさんの町の人、通り過ぎる人の道しるべでいて欲しいと思います。