1985-1988 昭和60年代
たばこが取り持つ縁もある

「いっぷくの思い出」入選受賞
【1988/昭和63年】
私はいつも親の顔色を伺うような子供で、親がいやがる事はした事がありませんでした。たとえば夏に肩がでたサンドレスを着る事、マニキュアをつける事、お酒を飲む事。そんな私が22の夏に煙草と出会ったのです。もちろん親には内緒。吸う時はいつも外へ出ていました。それが、おかしいと感じるようになったのは、24歳の時。成人である私は私の意志通りに行動する権利があるんだ。大げさだけど、そんな風に意気込んで、父と待ち合わせていた喫茶店に行くと、おもむろにチェリーを取り出し、いっぷくしたのです。それからは想像を絶する程怒鳴られました。でも、私はやめませんでした。意地ではなく、それが私にとっては必要なものだったからです。それを分かってもらえたのは、私が自立してからしばらくしてからでした。
[30代/女性/東京都]
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