代表 | 北井 雅昭 |
---|---|
住所 | 中央区築地7-12-13 |
TEL | 03-3541-8019 |
築地市場。魚河岸、美食の場として、今や日本のみならず、世界中にその名が知れ渡っている東京の観光名所です。
今年2018年10月に豊洲への移転が決定しましたが、築地の競りを見学し、食堂や商店をめぐる観光ツアーは非常に多く、その活気、人気の衰えは見えません。
そんな東京の台所・築地で、長年お店を営むナンデモヤ北井商店のご主人にお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
ご主人:明治の中頃か後半だと思います。もう110年くらいになりますね。
関東大震災で、東京は火事になったでしょ。木造建物だと焼けることがわかったから、地震のあと、このあたりの店は看板建築になったんですよ。
看板建築というのは、木造ではあるんですが、上から銅板を張って延焼を防ぐんです。私が生まれる前の話ですが、父に聞くと、看板建築が建てられた当初このあたりは、銅板でぴかぴか光っていた、という話をしていました。
このあたりはお店が多かったんですね。
ご主人:そうなんです。ここは昔、商店街だったんですよ。
また昔の話になってしまいますが、向島から隅田川を渡って、たくさんの人が築地に魚を買いに来るんです。まだかちどき橋もなかった時代ですから、渡しに乗ってくるんですが、佃の渡しを下りて、築地に行くまでのメインの道がここだったんです。
人通りが多かったので、お店がずらっと並んでいましたよ。今はもう、うちを入れて2軒くらいですが(笑)。
なるほど。今はお店にお客様が見えるたびに、丁寧かつ迅速に息子さんが対応されていて、後継者がいるので安心ですね。
息子さん:このあたりは、料理人とか職人とか市場で働く人が多く、普段から雪駄を履いているお客様は足音だけでわかります。足音聞いたら、もうたばこを出しておきます(笑)。
ご主人:今、店は全部息子にやってもらっています。息子が昼飯を食べに外に出るときだけ、私と交代しています。
たばこのお客様は常連さんが多いのですね。
ご主人:常連さんですね。去年まではお店の前でお客様にたばこを吸ってもらっていたんですよ。
東京オリンピックも近くなってきて、喫煙できる場所がどんどん減ってきた。うちは敷地内でお客様に一服していってもらおうと思っていたけど、他で吸えなくなったから、みんなうちに集まってきちゃったの。そうしたら、近所から煙たいってクレームが来てね。
お客様のために何とか継続して灰皿を置いておきたくて、弁護士さんにも相談したけど、今のご時世ではむずかしいって。
それで灰皿を撤去したら、たばこの売り上げも落ちてしまった。今は本当に難しいですね。
喫煙者と非喫煙者の共存できる道を探っていきたいですね。
ご主人:そうですね。たばこがすごく売れていた時代もあったけど、今は落ち込んできた。築地の街の様相も変わってきましたし、市場が豊洲に行ったら、また街も変わるでしょうね。
うちの店も改装したいけど、築地がこのあと何になるかで人の流れが変わるし、影響は大きいです。
とりあえず、オリンピックが終わって、ある程度落ち着いてからですね。それまでは何とか頑張って商売を続けていかなきゃと思っています。
周辺案内
築地市場
今も昔も変わらず活気ある東京の台所。場外市場と言われる市場に隣接した商店街では、一般人向けの小売店や食堂が並ぶ。近年では、外国向けのガイドブックに掲載され、外国人観光客の人気スポットになっている。
中央区築地5-2-1
都営大江戸線「築地市場」・東京メトロ日比谷線「築地」より徒歩1分。
築地本願寺
京都の西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派の寺院。幾度かの自然災害により建物が焼失したため、現在の古代インド様式をモチーフとした本堂は1934年に建てられた。
中央区築地3-15-1
東京メトロ日比谷線「築地」より徒歩1分、都営大江戸線「築地市場」より徒歩5分。
編集後記
明治時代からここ築地でご商売をされているナンデモヤ北井商店さん。ご主人で4代目、今は息子さんがお店を見ているので、5代続く老舗です。
当然、築地についてもたいへん詳しく、築地は昔ほど魚くさい街ではなくなったという面白いお話も聞かせてくださいました。
100年以上続く老舗のたばこ屋さん。築地に行く際はぜひ、ナンデモヤさんにお立ち寄りください。