代表 中田 はるい
住所 世田谷区奥沢8-31-8

東急大井町線・九品仏の駅名は、この地にある九品仏淨眞寺にちなんだもの。閑静な住宅街ですが、隣の駅が自由が丘ということもあり、最近はおしゃれなパン屋さん、スイーツ屋さん、カフェなどがオープンし、落ち着いた雰囲気と相まって密かな人気となっています。

九品仏駅から南にのびる九品仏商店会に、たばこ屋さんとお肉屋さん兼業のお店があります。こちらの中田たばこ店の奥様にお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

お話を伺った奥様とご主人。

奥様: 昭和4年に主人の両親がお店を始めました。創業時はたばことお茶と雑貨のお店だったらしいです。私は昭和37年に主人と結婚して、義父が亡くなるまで22年間一緒にお店をやっていました。昔のたばこは、今みたいに銘柄が多くなかったんです。

在庫から在庫を引くと売上げが出ますよね。義父は几帳面で厳しい人でしたから、それを毎日私が計算していました。今は銘柄が多くてとても数えられませんが、当時はそうしていましたね。

お店を奥様とお義父さまが見て、ご主人は外で働いていたのでしょうか?

お肉屋さんの隣に窓口があります。

奥様:いいえ、主人は肉屋さんの修業をしに練馬まで通っていたんです。それで、昭和39年の12月にここでお肉屋さんを開店しました。お肉屋さんを開店してからは、お義父さんが元気なうちはたばこ屋さんを見てもらって、主人と私がお肉屋さんをやって、忙しかったです。主人と2人で夜12時頃まで働いていました。子供3人育てながらね。

何年かして、お店に従業員が入ってきてくれて、子供も成長して長女にお店を手伝ってもらうようになり、長女のお婿さんにお店に入ってもらって、今に至ります。

親子三代なんですね。お肉屋さんを開店された昭和39年当時、このへんはお店が多かったのでしょうか?

窓口前のショーケース。

奥様:その頃は、何でもそろう商店街でしたよ。布団屋さん、自転車屋さん、漬物屋さん、何でもありました。昭和・平成の頃は、例えば、たばこの値上がり前には、お客様の予約の品で部屋いっぱいに埋まることもありました。

昔は売れました。窓口から離れられなくて、トイレにも行けないくらいお客様がひっきりなしに来てくれました。今はさっぱりですけどね(笑)。

今はたばこに厳しい時代になりましたが、常連さんはいらっしゃいますか?

側面には飲料販売機が並んでいます。

奥様:いつもカートンで買ってくださる常連さんがいます。定期的にまとめてたくさん買ってくださるお客様がいるから、何とか(笑)。

あとは、毎朝来て買ってくださる常連さんもいますね。ありがたいですよ。

ご商売を営む上で気をつけていらっしゃることは?

兼業しているお肉屋さんのお隣にあります。

奥様:なるべく品物を切らさないようにと思ってやってきました。せっかく来てくれたお客様に「ないです」って言いたくないですからね。在庫切れはしないようにと、気をつけています。

今は、孫が手伝ってくれていて、何が売れるか知っているので注文もやってくれます。私が注文をお願いした銘柄でも、「これは売れないからやめたほうがいい」とか意見をしてくれるんですよ。

周辺案内

九品仏淨眞寺

最寄りの駅名にもなっている「九品仏」の名で親しまれているが、正式名称は、九品仏唯在念仏院淨眞寺という。延宝6年(1678)に奥沢城跡であった地に堂塔を配置し、寺を創建した。

世田谷区奥沢7-41-3
東急大井町線「九品仏」下車徒歩5分

奥沢六丁目緑地

九品仏駅から南方面に商店が並ぶ九品仏商店会の道路を一本奥に入った場所にある。公園ではないが、広場とベンチと花壇が据えられ、お散歩途中の休憩所といった様相。

世田谷区奥沢6-25-3
東急大井町線「九品仏」下車徒歩1分

編集後記

ご商売の家に嫁いで60年以上、ずっとお店を守ってきた奥様。とても明るくお元気でお話し上手な方でした。今は娘さんご夫婦も切り盛りされている三代続くお店です。お肉屋さんの天ぷらや揚げ物などのお総菜は、昔は奥様が、今は娘さんが手作りされているとのことですが、とっても美味しそうでした!

九品仏商店会のたばことお肉のお店、ぜひ立ち寄ってみてください。