代表 | 小川 靖子 |
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住所 | 中野区大和町3-44-3 |
TEL | 03-3339-7484 |
JR中央・総武線の高円寺・阿佐谷エリアは、都心へのアクセスが良く、住宅地でありながら個性的な個人経営のお店が多いことで、散策するのにも楽しく、幅広い年代に人気のある街です。
そんな高円寺駅と阿佐ヶ谷駅のちょうど中間に位置する広瀬たばこ店の奥様にお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
奥様:昭和23年か24年頃だと思いますが、もとはたばこの商売をしていたわけではないんです。
もとからご商売をされていたわけではないんですね。
奥様:もともと父がここで材木屋をしていて、小売の商売をしていたわけではないんです。
私も聞いた話なので定かではないですけども、当時、高円寺通りのみずほ銀行の前にたばこ屋さんがあって、そのお店の方が「ここは表通りだから置いてみては」っていうことで、小さなガラスケースに入れて母が販売を始めたようで、それから間もなく、たばこの販売の許可を取ってお店にしたんだと思います。
今回、新しい自動販売機を2台設置されたんですね。
奥様:2台新しくしても、それほど売れませんが(笑)、もともと2台置いていたので、同じ台数入れないと変な隙間ができてしまいますから。前のtaspoのときみたいにタッチ形式ではなくて、挿入式だから面倒だってお客様から言われています。
今のところは、自動販売機より窓口を開けていたほうが売れますね。だから、なるべくお店を開けるようにしています。
長くご商売をされていて思い出に残っていることはありますか?
奥様:母と一緒にやっていた頃、とても売れて忙しかったことを時々思い出します。昭和の時代ですけど、大晦日のNHKの歌番組なんて忙しくて見たことなかったです。
昔、すぐ近くに温泉の出る銭湯があったんですよ。各家庭にお風呂がある時代ではないから、よく夜中まで人が来ていて、大晦日は、うちも夜の1時くらいまではお店を開けていたんです。お客様がたくさん買っていくので、デパートの手提げ袋をいくつも用意していました。
昭和が一番良かったですね(笑)。
ご商売を続ける上で気をつけていることはありますか?
奥様:灰皿は窓口の前と自動販売機のところと3か所置いています。通りがかりに煙が嫌だと思う人もいるでしょうけど、吸える場所が今はないですもんね。だから、灰皿の掃除だけはいつも綺麗にするよう心がけています。
それから、母がよく言っていたのは、「髪には櫛を入れるように」でした。身だしなみを整えなさいということだと思います。母は髪が長くて夜会巻き(後ろ髪をねじり上げて巻いた和装にも洋装にも合う優雅な結い方)をしていました。
やっぱり接客業なので、お客様に不快感を持たれる姿ではいられないですよね。
周辺案内
Aさんの庭
「Aさん」とは、公園にくる皆さんのこと。かつては昭和初期の歴史的な様式の住宅と垣根越しに見える庭一面のばらから「ばらの家」と呼ばれ、宮崎駿監督の著書『トトロの住む家』で紹介されました。現在、住宅は焼失しましたが、公園として整備されています。
杉並区阿佐谷北5-45-13
JR中央・総武線「阿佐ヶ谷駅」下車徒歩15分
蓮華寺
徳川三代将軍家光公の側室、お楽の方が懐妊したときに北山本門寺の日優上人に安産祈願をし、無事出産したことから、1658年に建立されました。毎年4月お釈迦様の誕生を祝う花まつりでは、子供たちの太鼓のパフォーマンスがあり、多くの人が訪れます。
中野区大和町4-37-15
JR中央・総武線「阿佐ヶ谷駅」下車徒歩17分
編集後記
穏やかにお話をしてくださった奥様。何度か手術をされ、体調に不安がありつつも、100歳までお店でご商売をしたいと仰っていました。
その言葉はとても心強く、そのとおり、100歳のたばこ屋さんの名物看板娘になってほしいと心から思いました。綺麗な灰皿を3つも設置しているのも、奥様の心づくしだと思います。
早稲田通り沿いにある広瀬たばこ店さん、お近くをお通りの際はぜひ立ち寄ってみてください。