| 代表 | 大野公子 |
|---|---|
| 住所 | 足立区千住柳町33-19 |
足立区のビッグターミナル北千住の駅から北西に15分ほど歩いた大正通り沿いのスーパーマーケットの横に、小さなたばこ屋さんがありました。
お店構えは控えめですが、人気銘柄を取りそろえ、ご近所の愛煙家の方々にはとても頼りにされているようです。
長年ここ北千住でたばこ屋さんを営む大野さんにお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
大野さん:創業は昭和10年か11年です。北千住駅前に通りができたときに先祖がお店を出しました。刻みたばこを扱っていたようです。
創業時のことは詳しくはわかりませんが、私が子供の頃は北千住駅前通りでお店をやっていて、25年くらい前に相続でこっちの千住柳町に引っ越してきました。以前は、隣のスーパーの場所でお店を出していたんですが、スーパーにするというので、隣に場所を借りて今の形になりました。
そうだったんですね。今のお店構えにしてどれくらい経ちますか?
大野さん:7年くらい経ちますね。隣にいたときより、今のほうが売上げはいいです。
ここの通りは夜になると暗いんです。でも、うちの自動販売機の明かりが見やすいのか、目を引くみたいで、お客様が寄ってくださるんですね。以前は脇に灰皿も置いていました。
このへんは吸う場所がないので、喫煙者の皆さんここに集まってくるんですね。でもお客様には申し訳ないことですけど、撤去せざるを得なくなってしまいました。
お客様は近所の方が多いですか?
大野さん:そうですね。通勤前や通勤後に寄ってくださる方が多いです。
外国人のお客様も結構いらっしゃるんですが、銘柄を言えないみたいなので、顔を覚えてその方がいらっしゃったら、さっとたばこを出すようにしています。そうすると、外国人のお客様も喜んでくださって、よく来てくださいます。うちに来たら、自分のたばこを出してくれるって認識してくださったみたい。
他のお客様もなるべく顔と銘柄を覚えて出すようにしています。
素晴らしいことです。お客様も嬉しいですよね。
大野さん:でもこっちの千住柳町に引っ越してきたばかりの頃は全然売れなくて、周りにあった他のたばこ屋さんがしっかりしていたから、入り込む余地がなかったです。
こちらに来て25年経ち、周りにあったたばこ屋さんが最近3軒も廃業してしまったんです。うちだけ残ったんですよ。近所にお住まいの方も、だんだんたばこ屋さんがなくなっていくなか、隣のスーパーで買い物した際に、「ここにたばこ屋がある」って認識してくれて、お客様が繋がっていったんじゃないかなと思います。長くいれば周りの人とも知り合いになってきて。
あとは犬友ですね。以前は柴犬を飼っていたので、その頃のお友達が犬を連れて買い物に来てくれます。新しいお客様もみな犬を連れてきてくれます。色々な方と知り合いになれて、楽しくやっています。
それでは、ご商売を続けていく上で気をつけていらっしゃることは?
大野さん:お客様はほとんど皆さまとってもいい方なんですが、中には接し方に気をつけたほうがいい方もいますね。「今日はお金を持って来てないけど、次に来たときに払うから、たばこを渡して」という方が来たことがありました。「うちは貸し売りをしていません」ってはっきりとお断りするともう来なくなりましたが、そういった方には強い態度ではっきりと言わないといけませんね。弱腰ではいられないなと。
でも、それはごく一部の方でほとんどはいいお客様です。
周辺案内
千住公園
広い敷地に子供たちに人気の複合遊具があり、夏にはじゃぶじゃぶ池で遊ぶことができます。また、足立区主催のイベント「パークで筋トレ」が定期的に行われ、65歳以上の方が指導員のアドバイスを受けながら健康維持の運動ができます。
足立区千住大川町35
JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線ほか「北千住」下車徒歩15分
大川本氷川神社
ご祭神は素盞鳴命・倉稲魂命で、永仁2年(1294)に千住五丁目川田耕地に素盞鳴命を勧請したのが始まりとされています。富士山の溶岩を積み上げて築造された高さ3mの大川町氷川神社富士塚があり、足立区登録有形民俗文化財に指定されています。
足立区千住大川町12-3
JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線ほか「北千住」下車徒歩15分
編集後記
とても穏やかに色々なお話をしてくださった大野さん。今は娘さんと交代でお店を見ているとのこと。
お店はほとんど年中無休らしく、お正月の元日も御神輿がお店前の大正通りを通るというので開けているようです。通り沿いとはいえ、暗い夜には大野商店さんの明かりが通りを歩く人の心をほっとさせてくれます。
個人経営のたばこ屋さんが減っていくなか、ご近所の愛煙家にはとても大切にされているお店です。

