代表 鈴木 喜美子
住所 北区豊島

 今回のたばこ屋さんインタビューは、北区豊島でたばこ専業店を営んでいる「鈴木たばこ店」のご紹介です!お客様とのコミュニケーションを大切にした暖かみを感じさせるお店には、応接用の大きなソファーセットが置かれ、たばこを買いに来たついでにちょっと座っていっぷく、という常連さんも多いようです。また、都内でも50件程しか使用していないというPOSシステムを導入されているたばこ屋さんでもあります。ご主人の智さん、奥様の喜美子さんにお話を伺いました。

周りは昔から住宅街ですか?

朝日の降り注ぐ大きなウィンドウ

 ご主人:戦前は軍需工場や火薬庫が占めていましたが、戦後は工業地帯と文教地区になっていきました。日産化学、東京有機化学、日本油脂など、明治時代からの工場の街でした。今では工場の機能を地方に移転する企業が増えてきたせいか、跡地に大きな団地が建つようになってきました。

立派な神棚ですね

先祖代々受け継がれている神棚

 ご主人:代々継いでいる昔からの神棚なんです。この土地の氏神様であり、地元の人々から「紀州さま」と親しまれている、「紀州神社」の神様を祭っています。注連縄(しめなわ)は年末に取り替えたばかりだから、まだ青々としていますが、これが12月になると赤くなります。青々とした注連縄は純日本製の証だと言われいますが、最近市場に出回っている注連縄は中国産がほとんどらしいですね。

紀州に何か関わりが?

 ご主人:豊島のこの辺まで、昔は海だったそうです。その昔、船で紀州からたどり着いた先人達がこの豊島に腰を降ろしたという謂れがありますが、鈴木家も元をたどればご先祖様は紀州の生まれになります。
 北区豊島というのは、平安末期から鎌倉時代まで関東一帯に勢力を誇っていた豊島氏の発祥の地で、豊島清光が開基した「清光寺」がこの近くにあります。池袋がある豊島区の本元が北区の豊島になるわけです。

POSシステムを導入されているんですね

重宝しているたばこ専用のPOSシステム

 ご主人:とても便利ですよ!バーコードをピッとかざすだけで、多種多様なたばこの値段を教えてくれるし、領収書から1日の売上までボタン1つで出てきます。もうPOSなしの営業は考えられないですね。
 開店時にPOSの電源を入れ忘れることがあったりしたら値段がわからないから、お客さんに「これいくらでしたっけ?」って尋ねたり(笑)。閉店後の売上集計も助かっています。

見渡しのよいウィンドウで

読書をしながら、この指定席に座って店番をしているそうです。

 ご主人:先代からお店のウィンドウの方角にはこだわりがありまして、縁起のいい辰巳の方角を向いています。朝日が当たり、見通しがよく、開放感がある、このウィンドウに合わせて改築したほどでしたから。四つ角が見渡せるこの地で店番をしていると、老人介護の送迎車が行ったり来たりしているのにも時々気づきますね。
 奥様:高齢化社会ということで、この辺りでもお一人暮らしのご老人がたくさんいます。そういう方はとにかくお話がしたいので「どう?足の具合は良くなった?」とか、私がお話し相手になります。聞いてもらえるのがうれしいようで、お話が目的でついでにたばこをという方も多いですよ。まるでたばこ屋さんが病院の待合室になったかのように、井戸端会議が始まるんです。

お得意様が多いのでは?

20年前に改築した際に、隣2つを貸店舗にしたそうです。ずっとお花屋さんと和菓子屋さんです。

 ご主人:「昔からたばこだけは鈴木さんのところで買うって決めてるんですよ」とたばこ屋さんを何軒も越えて、ひいきにして下さる古いお得意様が多くて、本当にありがたいです。お客様の期待に答えられるよう、品揃えには気を使います。
 奥様:また、主人が町内会の役員をしている関係で、役員同士の交流の場、ちょっとした話し合いの場として使ってくださるついでにカートン買いなされるんです。うちは、自販機よりも手売りの率が多いですよ。

お二人でお店を見ているんですか?

 奥様:ええ。主人はサラリーマンとして長年務めていたんですが、12年前に定年になってからはいっしょに店番をするようになりました。今ではお世辞も言えるようになって、すっかり“たばこ屋のおやじ”です(笑)。
 たばこ屋をやっていて、主人と二人で毎日朝から晩まで忙しく、1日が早く過ぎていくというのは、ありがたいですね。これからもずっと、お客さんといっしょに楽しく商売したいと思っています。

周辺案内

紀州神社

 ご主人のお話の中に出てきた豊島の氏神様が祭ってある神社。鎌倉時代後期、紀州から昔の王子村に五十太郎神社を勧請したのがはじまりで、水の神様として知られています。

国立印刷局王子工場

 現在、日本銀行券は製造していませんが、記念切手の9割以上を製造しています。隣接する「印刷局王子展示室」では、1億円を実際に持てるコーナーなどがあり、入館は無料です。

編集後記

 近所にお嫁に行った娘さんたちが毎日のように実家に顔を出し、お孫さんはたくさんの友達を連れて遊びに来るし、常連さんはいらっしゃるしで毎日があっという間に過ぎてしまうそうです。
 お二人の口からは「商売が楽しくてしょうがない!」というお言葉が何度も出てきました。これからもにぎやかなたばこ屋さんとして末永く活躍されることを願っています。